2012年2月12日日曜日

トランス脂肪酸に課税

わが国でも、やっと消費税率に引き上げに関する積極的な議論が国会等でされるようになりました。しかし、税率引き上げには、国民の支持を不可欠です。そのためには無駄な支出を徹底的に洗い直し、これ以上の無理だという水準にまで経費・人件費の削減を進めることがどうしても必要です。今日は、消費税率が高いとして知られているデンマークの消費税(注1)に関して、面白い記事がありましたので引用します。引用もとは『週刊エコノミスト』2012.1.31号で、記事のタイトルは『デンマーク、相次ぐ増税も反対なく、信用喪失に危機感共有』です。以下引用文。
『デンマークで昨年10月、バターや牛乳など飽和脂肪酸を含む食品に課す世界で初の「脂肪税」が導入された。また、今年1月からはチョコレートやアイスクリーム、ビールやワインなど砂糖やアルコールを含む食品も税率を引き上げだ。高福祉・高負担の国として知られるデンマークは、消費税率が25%と欧州各国のなかで最も高く、食料品への軽減税率もない。欧州経済が悪化するなかで相次いださらなる増税。しかし、反対運動はほとんど起きていないのが特徴だ。
その理由の1つは、「国民健康増進」という大義名分。飽和脂肪酸は過剰接種すれば動脈硬化などを引き起こすといわれ、医療費の抑制も狙いとする。また、増税が小幅なのも国民の負担感を少なくしている。脂肪税では飽和脂肪酸1キロ当たり16デンマーククローネ(約210円)で、例えばバター(250g)の価格は15.5クローネ(約205円)から18.1クローネ(約240円)に引き上げられる計算だ。
そして、何より財政赤字解消への理解が広がっていることが大きい。デンマークは人口約550万人の小国で、欧州共通通貨ユーロにも加盟していない。一方、昨年の財政赤字は対国内総生産比3.8%の670億クローネ(8,840億円)で、12年は950億クローネへ拡大すると見込まれる。国の信用を失うことの危機感を共有し、工夫して税収増への努力を重ねるデンマーク。他国が学ぶべき点は多そうだ(岩本達弘・JETROコペンハーゲン事務所長)』
右のグラフは、各国の付加価値税率(又は消費税率)を比較したものです。デンマークとスウェーデンの税率は25%と最も高い水準にありますが、ギリシャやイタリアなど財政問題が危機化している国々の税率も高いことが特徴的です。やはりデンマークという国は凄いですね。風力発電の導入にいち早く取り組み、エコの先進国ともいわれる同国。以前は日本がその地位にいたのですが、完全に抜かれてしまいました。消費税のあり方、財政のあり方、そしてエネルギーのあり方を議論するに当たってはデンマークから学ぶべき点は多そうです。
また、最近問題となっているトランス脂肪酸に関してもデンマークは先進国です。日本は特段の規制はありませんが、デンマークでは2003年に食品中のトランス脂肪酸の量を全脂質の2%までとする罰則規定のある行政命令を制定し、2004年より施行されています。ここで、トランス脂肪酸に関する記述がありましたので引用します。ポーラン(2009)(注2)は、著書の中でトランス脂肪酸の危険性を指摘している。以下引用文。
 『コーン油は料理用のサラダ油のオイルとして利用されるか、あるいは水素添加されたマーガリンや加工食品に使われる。水素添加とは、脂肪を室温で個体に保てるよう、水素原子の脂肪分子に付加することだ(もともとは動物脂肪の健康的な代用品としてつくられたが、現在、医療研究者は、このトランス脂肪酸はバターより動脈に悪影響を及ぼすと考えている)』
この文章を読んでから、わが家ではトランス脂肪酸の含まれていないマーガリンを使用するようになりました(注3)。健康と思って、マーガリンを使用していましたが、バターの方が健康に悪くないというのは本当に驚きでした。
(注1)日本では消費税と呼ばれるが、海外では付加価値税がそれに当たる。税の負担が付加価値ベースでなされることで相違するものの、最終的には消費者が負担するという意味でほぼ同様な税。
(注2)マイケル・ポーラン『雑食動物のジレンマ』第5章、ラッセン秀子訳、東洋経済新報社、2009年。
(注3)小岩井農場のホームページにトランス脂肪酸に関する記述あり。それによるとそもそも日本人は、欧米人と比べてトランス脂肪酸の摂取量が少ないとのことです。

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