2012年9月9日日曜日

アマゾンのタブレット市場強化と出遅れた感のある日本の電子書籍市場

 私は、電子書籍に関しては、3年前以上も前にiPhone3GSを使って購入してからは、熱烈な利用者です。購入した電子書籍は100点以上にも上り、それら全てがアマゾンが提供するキンドル対応の電子書籍です。従って、電子書籍を読むとしたら、iPhoneやiPadなどを立ち上げ、アマゾンが提供しているiPhone、iPadアプリ、キンドルを使用して、電子書籍を読んでいます。タグなどが簡単に付けることができ、付けられたタグがネットを通じて、パソコン、iPad、iPhoneなど異なるデバイス間でデータの共有化できることから、非常に重宝しています。また、利用開始当初に購入した経済学の古典であるJ.M.ケインズ著『雇用・利子および貨幣の一般理論』やマックス・ウェーバー著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、ともに2ドルとか、3ドル程度に入手できた記憶があり、価格の安さに非常に驚いた次第です。因みに、アップルを通さないアプリを通じた課金に制限を加えたことから、現在ではiPhoneのキンドルアプリで書籍の購入はできなくなっており、それらはパソコンを通じてアマゾンの米国のサイトに直接アクセスし、購入した後、それぞれのデバイスへと書籍データをダウンロードするという形をとっています。
 このほど、米アマゾンが、アップルのiPadに対抗するべく、新しいタブレット端末、キンドルファイアHDを発表、独走するアップルにiPadに対抗できるかが注目されています。2012年9月8日付朝日新聞朝刊にアマゾンのタブレット端末に関する記事が掲載されていましたので紹介します。自社製の端末が売れれば、アマゾンにとってプラスであるものの、書籍データはアマゾンのクラウドに保存され、あらゆるデバイスで書籍を読むことができるので、高性能の自社製端末の販売にはやや疑問が残ります。記事の題目は『タブレット、激安時代へ。アマゾン、新型「キンドル」今月発売』です。以下記事引用。
 『米アマゾンは6日、新型のタブレット端末「キンドルファイアHD」を発表した。画面の解像度を高めつつ、主力モデルの価格を199ドルと据え置いて値ごろ感をアピールした。各社が200ドル(約1万6千円)を切る商品を投入する「激安化」の流れを、日本のメーカーはどう迎え撃つのか。
 「HD」は昨秋発売したキンドルファイアを全面刷新した。カメラ内蔵で一部は次世代高速通信にも対応。低価格モデルは14日から出荷を始めるが、日本など米国以外での販売は未定だ。旧モデルも一部機能を改良し、2割ほど値下げして159ドルで販売を続ける』

 アマゾンが、キンドルの価格を抑えることができるのは、購入されるであろう電子書籍の販売で利益が出るからであり、ソニーなど日本のメーカーとは置かれている状況が違います。電子書籍の販売でトップランナーであるアマゾンならではのタブレット端末(右図はキンドルファイア)であり、私個人としては価格低下による電子書籍市場の拡大が実現できるのならば、日本のメーカーでなくても構わないと思っています。そして、私が最も期待しているのは、アマゾンによる日本の電子書籍市場への進出です。漫画などの電子書籍化はかなり豊富なコンテンツ量があり、eBookJapanで漫画を100冊程度購入した経験がありますが、実は日本の小説やビジネス書などに関しては、対応状況が各社バラバラと印象もあり、一切手を出したことがありませんでした。

 そうした中で、電子出版の世界規格であるEPUBで国内41の出版社が、導入に向けたガイドを作成したようです。このEPUPは、かなり前から存在しており、日本市場を意識してか、バージョン3では縦書き、ルビにも対応しており、速やかな導入が待たれていました。このEPUBに関する記事が2012年9月8日付読売新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『電子書籍「世界規格で」、41出版社が指針』です。以下引用文。
 『主要出版社41社でつくる日本電子書籍出版社協会(電書協、代表理事=野間省伸・講談社社長)は7日、電子書籍を欧米の標準的な規格「EPUB(イーパブ)」を使って作るための指針となる「制作ガイド」を策定した。11日に詳細を発表する。主要出版社がEPUBによる電子書籍制作に足並みをそろえて取り組む姿勢を示した格好で、電書協は今後、端末メーカーなどに対し、このガイドに則した閲覧ソフトや端末の開発を要望していく。(中略)
 ただ、出版社側にとっては、同じEPUBを使っても、パソコン、スマートフォン、電子書籍端末などで閲覧ソフトの種類が異なると電子書籍の制作方法が細部で違ってくる。同じ作品なのに複数の方法で電子書籍を作らなければならない手間を嫌い、EPUBの作品が思うように増えないのが現状だ。今回、電書協がEPUBの制作ガイドを定めたのは、ガイドに則した方法で制作した電子書籍なら、あらゆる端末で読めるようにすることをメーカーなどに促す狙いがある』
 この流れは歓迎すべきことであり、アマゾン、ソニー、シャープなど利用する端末の違いによって電子書籍が読めなくなることはなくなる事態は避けられる方向へと向かっているようです。しかし、問題点はあります。それは、私がアマゾンのキンドルを利用する理由にあります。それは、アマゾンは業績を着実に伸ばしている、世界でも有力な企業の一つであるということです。電子書籍は、通常、利用している端末に書籍データが保存されているか、提供企業のデータセンターで購入履歴が保存されているかで、所有権が明確になります。電子書籍に不安を感じるのは、サービスを提供する企業の経営状況が盤石かどうかに、依存していることが否めないからです。従って、赤字決算となっているシャープが「XMDF」という規格で電子書籍のフォーマットを策定し、数万点規模のコンテンツを準備したとしても、これら企業の行く末がしっかりしていない場合、電子書籍の購入に二の足を踏んでしまうのです。上図は、私が購入を予定している電子インクの白黒モニターのキンドルです。ソニーも赤字、シャープはやばい状況であるある中、提携企業がしっかりとしていたとしても、アマゾンへの魅力は、ビジネスモデルがしっかりしていること、経営も盤石であること、そして私が本を読むと思われる10〜20年の間は存続しているという確信です。アマゾンに対抗するには、日本のメーカーは、出版社を取り込んで上で、購入した書籍の保存に関するコンソーシアムみたいなものをつくることが求められるでしょう。

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