2012年9月1日土曜日

米大統領選、決めてを欠くオバマ大統領とロムニー氏

 野党共和党の党大会でロムニー氏が、共和党の大統領候補に正式に選ばれました。30日の最終日にはロムニー氏が演説、演説では多くの時間をオバマ大統領への批判に割き、雇用創出ができず、夢を与えるどころか米国民を逆に失望されたことをことさら強調したようです。因みに、ロムニー氏自らが掲げる政策は、減税と規制緩和により小さな政府を実現し、強いアメリカを復活されるというものです。

 オバマ大統領が高止まりする失業率で苦戦を強いられている中で、現在の経済情勢を踏まえれば、現職不利、通常ならば挑戦者であるロムニー氏にとって有利に働くことが考えられます。しかし、現実には、ロムニー氏が打ち出した経済政策が、不況を招いたブッシュ前大統領と大差がないことに加え、自らが大富豪であり、庶民感覚に乏しいとの批判が共和党支持者からもあって、有権者全体の支持を取り込めていないという事実です。これは、世論調査の結果に現れており、概ねオバマ大統領の支持率がロムニー氏の支持率を上回っているものの、期近ではそれぞれ46.8%、45.7%とほぼ拮抗していることから(REAL CLEAR POLITICS調べ )、どちらに転んでも不思議でない情勢となっています。

 もっとも、2012年8月31日のNHKの午後7時のニュースでは、全米各州のうち、どちらか一方が優勢である州がほとんどであり、激戦州となっているのは僅かに9州にとどまっているとのことです。右表は、州別の支持を表しており、はオバマ大統領支持の州、はロムニー氏支持の州、は激戦州をそれぞれ示しています。ついでですので、州ごとの選挙人数と失業率も並記しています。失業率と支持との間には、特段の関連性にないようにみえます。ロムニー氏が保守派に歩み寄る一方で、4年前の勢いがないオバマ大統領は、9月の第一週目に開かれる与党民主党の党大会では、リベラル派の意向に配慮した政策を打ち出すことが予想されています。結果、地域別には大きな開きがあり、カリフォルニア州やニューヨーク州などリベラル派の多い東海岸、西海岸ではオバマ大統領支持、テキサス州など保守派の多い内陸部ではロムニー氏支持といった具合になっています。
 右図は、各州別の選挙人数を支持別に累計したものです。選挙人数は、合計で538人であり、270人の選挙人を獲得した方が次期大統領となります。選挙人の獲得予想数では、オバマ大統領やや有利という感は否めないところです。しかし、激戦州の選挙人数は110人にも及び双方とも現時点では過半数である270人に及んでいません。今後、オバマ大統領、ロムニー氏ともに、激戦州に重点を置いた選挙キャンペーンを打ち出してくることが予想されています。特に、選挙人数が多いフロリダ州、オハイオ州あたりの動向がカギを握っており、今年11月に行われる米大統領選は目が離せなくなっています。私個人としては、相手候補を中傷するネガティブキャンペーンではなく、経済、外交、格差問題など様々な点で行き詰まっている米国を、健全な方向へと導き、世界のリーダーたる品格を与えるような議論が活発になされればと思っています。

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