2012年1月1日日曜日

ブラジル経済の動向

私はブラジルの投資信託を毎月累投で購入しています。投資している銘柄は、HSBCのブラジルオープンで、株式投信です。購入を始めてたころ、ブラジル政府は為替取引に対して課税することを表明、その適用税率は、特にブラジルの債券を購入する際に大きく、株式を購入の際は、その半分程度であったという記憶があります。ブラジル経済は2010年までは堅調に推移していましたが、2011年からはやや失速気味であることがグラフからでも読み取ることができます。為替に対する課税を行った結果、ブラジルレアルはかなり下がったと思われますが、一方で、経済成長率が鈍化しているのは、欧州危機に端を発する世界経済の成長率鈍化の影響であると考えられます。そして、レアル安が引き起こしたのが、消費者物価の上昇です。期近のデータでは7%台に突入しているようです。
 ブラジルの為替取引に対する課税は、コーヒー、鉄鉱石、大豆などの主要生産・産出国であり、ドルベースで取引されるこれら商品価格が、ブラジルレアル高により目減りし、ブラジルからみて受け取りの減少へとつながるということが背景にあります。緊急避難的な措置であり、やむを得ない施策であったともいえますが、意図的に為替に介入することは、望ましいとはいえないでしょう。
ブラジルの投資環境の惨状が理解できる記事が『週間東洋経済』2011.12.17に『ブラジル投信バブル、崩壊の危機』(注)という題目で掲載されていましたので、今日はその一部を引用されていただきます。冒頭に、ブラジル投信の動向に関する部分がありましたので、そのまま引用します。
『リーマンショック後、日本株離れが進む中で、ブラジル関連資産に投資するブラジル投資信託(投信)は、別世界のような盛り上がりを見せてきた。2009年1月時点では、純資産合計で5000億円だったブラジル投信は、11年7月に約16倍の8兆円まで膨張。日本で販売されている投信全体の2割弱を占めるまで急成長した。だが、順調に拡大してきたブラジル投信は、突如として嵐に巻き込まれた。今年の夏欧州債務危機をきっかけに基準価格が下落、資金流出に見舞われた。純資産は2割減の6.4兆円まで急減したのだ』
ブラジルレアル、ブラジルの株価指数BOVESPAの下落を考えれば、特にブラジルの株式投資はかなりの損害を出していると思われます。しかし、ブラジル経済は、短期的には足下が揺らいでいるものの、リオ・オリンピックまでの今後の4年以上の年月を考えれば、どうなるのでしょうか。『失われ10年』(悲しいことに、我が国の場合、失われ20年ですね)といわれた南米地域を襲った経済危機が再び到来するのでしょうか。ブラジル沿岸には、掘削技術の進歩により石油生産ができるようになり、現在では国内需要のほとんどを国内で賄っていること、ブラジルの資源を欲しがっている中国の経済規模が引き続き拡大していること、貧富の格差を是正する民主的な政権が樹立、政治が安定していることなど、ブラジルという国の内外の環境は、『失われた10年』当時と比べて格段に、ブラジルにとって有利に動いています。今、短期的ではなく、長期的な視点にたった投資スタンスが求められるところです。確かに、私もかなりの損失を抱えている気がします。気がしますと書いたのは、実は4年後のリオ・オリンピックの開催の日まで累投を続け、その間は残高・損失を一切チェックしないと心に決めたからです。4年後が楽しみですね。
(注)藤尾明彦著

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