2012年1月5日木曜日

長期金利の動向

私は少額ですが、外貨建ての債券を持っています。債券と書いたのは、国債以外にも州債、社債などもあるからです。株式と違って、債券の購入はシビアーです。株式は値がいくらでも気にしないでいいのならば、市場からいつでも購入できます。一方、債券は株式と異なり、市場(正確には店頭からです)から一端消えるとなかなか購入できないということです。先日も豪ドル建ての欧州開発復興銀行の割引債(2011.12.7時点、100豪ドル額面=39.47ドル、利回り5.830%、残存16年)を購入しようとしたのですが、何故か躊躇し(欲を出して利回りが上昇すると考えたのかもしれませんね)、翌日以降の購入にしようとついつい考えてしまいました。その考えが失敗を招いてしまったのです。翌日、ホームページをチェックすると、何とその「玉」はなくなっており、愕然としました。それ以降、欧州を中心とした金融市場が不安定化し、豪ドル建て債券の利回りは大幅に低下、購入するタイミングを完全に逸してしまったのです。デイトレーダーが株式で行っていることは、1分1秒が大切です。購入するタイミング、売るタイミングを間違えれば、大損失へと結びつくからです。しかし、私のような投資をするものにとっても債券の購入は厳しいです。機会利益の損失という表面に出てこない損失です。タイミングと決断が大切だということを痛感した瞬間でした。
 また、昨今のギリシャ債務問題を考慮すれば、株式と同様に、債券にもデフォルトリストは存在します。一方で、株式にはない、債券のリスクがあります。それは、再投資リスクです。債券は起債された後、固定化された利子が6ヵ月、もしくは1年に一度支払われます。最近知ったことなのですが、全ての国の国債が6ヵ月ごとに利子が支払われると思っていましたが、何と私が近日知った限りですが、少なくともドイツとフランスの国債は一年に一度の利払いです。そして、米国の場合30年債など超長期債を含めて色々な国によって異なりますが、一定の期間、定期的に利払いがなされた後、償還を迎えることとなります。その時、運良く、別の債券に乗り換えることができれば、何も言うことはないのですが、今のように世界的に景気後退の危機が叫ばれている中で償還を迎えると、たまったものではないです。再投資する先もないし、仮に1米ドル=120円で購入していた債券が償還されたのならば、とんでもない損失が確定してしまうことになります。その点、株式はデフォルトしない限り、再投資のことは気にせず、保有し続ければいいのですから。その点においても債券投資はシビアだと思います。
 ここで、今後の債券の動向に関するレビューが出ていましたので引用します。出所は『週間エコノミスト』2011.12.27号です。以下、引用です。
『欧州債務問題は日本の長期金利にも影響を及ぼしている。だが、欧州問題が深刻化する局面では、日本の長期金利が上昇する場合と低下する場合の両方がある。一概に、欧州問題が悪化すれば欧州債が売られて、日本国債が買われ、日本の長期金利が低下する、とは言えない。
11月下旬には欧州のみならず、世界的にソブリン・リスクが嫌気されたため、日本の長期金利についても、それまでの1%を夾んだ動きから1.05%の水準まで上昇して、レンジがやや切り上がった。
日本国内では年内に消費税引き上げの時期と幅を明記した税・社会保障一体改革の素案が作成される予定である。大綱の決定は年明けとなる見込みだが、消費税引き上げを巡る議論に政治リスクが加われば、長期金利には上昇圧力となろう。足元では金利が低下しているが、1.05%近辺への上昇もありうる。』
 上記の通り、今後国債の利回りの上昇を予測するレビューがありました。Bloombergのアプリによる2012年1月3日17時29分時点で、10年物の日本国債の利回りは0.98%まで下がっているようです。以前、米国と日本の国債利回りの推移を表したグラフをアップしました。今日は、ユーロ圏(エストニアを含む17カ国ベース)の10年物国債の利回りも加えたグラフを作成しましたので、それをアップします。やはり特徴的な動きを示しているのは、米国債の10年物国債の利回りです。2011年1月に4%前後であったものが、その後急低下しているようです。Bloombergアプリの最新のデータでも、2012月1月3日23時16分時点で、1.95%と低位で推移しており、安全資産としての米国債の価格急騰が目立っています。つまり、債券投資の局面がますます厳しくなっていることを示しています。

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