『ユーロ圏には不吉な「13日の金曜日」だった。米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が昨年12月5日に格下げ検討を表明し、「Xデー」がいつかと市場関係者は気をもんでいた。発表直前の格下げ観測を受け13日の欧米株式市場は下落、ユーロにも売りが広がった。特に、厳しさを増しているのは欧州の金融機関である。ユーロ圏の国債を大量に保有している欧州の銀行が、資金ショートを防ぐため、銀行間で短期の資金を調達しようとも、貸し借りがしにくくなっています。このこれには、欧州の銀行が預金ではなく、債券発行等による資金調達の比率が高く、かつオーバーローンであるケースが多いことが背景になっています。また、資金余剰となっている銀行も、リスクの高い銀行への貸し出しを抑制、低利でも安全なECBに預金するという行動をとっている。結果、資金不足を銀行は、ECBの特別措置に基づいた1%の低金利の融資を受けることとなり、欧州の金融は事実上ECBの管理下に入っているという状況です。
フランスとオーストリアは最上級格付を失い、ユーロ圏で「トリプルAクラブ」の国はドイツなど4カ国に減った。その影響は各国が共同で保証する安全網、欧州金融安定基金(EFST)が出す債券の格付けや調達金利に及ぶ可能性がある。EFSTは高い格付けの国が低い格付けの国を支える仕組み。ユーロ圏全体の信用が下がればそれも難しくなる』
上記の表は、日本経済新聞社に掲載された表に、S&Pのホームページからのデータを付け加えたものです。英国、カナダ、オーストラリアが依然としてAAAの格付けを得ているほか、ユーロに加盟していない北欧のノルウェー、スウェーデン、デンマークも同様です(因に、ギリシャはCCの格付けで敢えて表に入れていません。現時点でのユーロ加盟国は17カ国ですが、ギリシャの記載がないため、16カ国のみの表示になっています)。BB+の格付けから投資不適格となります。つまり、現時点でキプロス、ポルトガル、ギリシャの国債が投機的水準となっています。特に、イタリアの2段階の下げは厳しく、イタリアの動向次第では、ユーロ危機による世界経済への打撃は大きくなることが予想されます。
週明けのユーロ相場が気になるところです。1月13日の米国の株式市場はユーロ危機に嫌気を示し下落しました。週明けの日本の株式市場は、前日のNYでの株安及び円高の進行という2つの要因のため、下落する可能性が高いのではないでしょうか。
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