
その他にも、農産物は数多くあり、関税の大幅引き下げにより、それら全ての価格が大きく下落したのならば、農産物の生産に携わっていない家計にとって輸入自由化は歓迎すべきものだと思います。しかし、この話は単純ではありません。農産物の生産が主な収入源である家計にとっては大きな打撃になるだけではなく、その結果、今でもすでに多いと指摘されている耕作放棄地を減らすどころか、日本国内は耕作放棄地ばかりになり、不毛の地になってしまいます。また、農業の衰退は、地方の衰退に直結すると考えている人々にも、農産物の関税引き下げはマイナスです。同様に、食糧自給率が40%と主要先進国の中で最も低いのは安全保障上リスクがあると主張する人もいます。一方で、円高に苦しめられている製造業にとって、FTAやTPPに参加することはメリットは大きいたでしょう。農産物の関税引き下げの代償で、輸出品に対する相手国の関税が引き下げられることは歓迎すべきことでしょう。それぞれに立場が異なり、利害関係が複雑に交錯することから、それを一つの意見にまとめて、TPPやFTA等の自由貿易を推進することは、かなり困難な作業になることが予想されます。

それでは、経済的な合理性から考えて、この問題は解決できないでしょうか。経済学は、資源は希少であるという立場から、最適な配分や生産について多く語っています。ここで、農業生産における生産要素の希少性に注目します。農業生産に不可欠なものとして、すぐ思い浮かぶのは労働、土地、水、肥料、農業機械などです。ここでは、話を単純化するため、労働と土地のみを農業生産における生産要素として、生産関数を考えてみましょう。生産物Output、その生産要素を労働Labor、土地Landとして以下を生産関数を定義します。
今回、数式を使った初めてのブログですので、簡略化の意味を含め、上記の通り具体的な式をもって生産関数とします。aはパラメーターで、a=0.5とすると、以下のグラフが作成されます。
上記グラフは、労働Laborと土地Landを独立変数、生産量Outputを従属変数とし、投入される労働、土地が増加するほど生産量は増加するものの、増加率は徐々に低下することを示しています。これは、投入される土地を一定として、投入される労働が増加すれば、増加するほど生産量は増加しますが、限界的に投入される1単位当たり労働に対する生産量の増加率は徐々に低下する。逆に、労働を一定として、投入される土地の面積が増加すれば、増加するほど生産量は増加しますが、限界的に投入される1単位当たりの土地に対する生産量の増加率は徐々に低下することをそれぞれ示しています。これは直感的に分かることです。例えば、土地は1haとして、そこで働く労働者数が、一人ずつ増えていくと、生産量は徐々に増加しますが、最後は足の踏みどころもない状態になります。一方、労働者1人に与えられた土地が、1haずつ増えていくとどうなるでしょうか。どちらの場合にせよ、投入される生産要素が増えるごとに徐々に限界的に生産量は減少することになります。
私の意見は、現在、農業生産に関する生産要素で、相対的に希少と考えられるのは、労働ではなく、機械設備てもなく、土地(豊富な水と表土で満たされた肥沃な土地のことです)であることです。今後、増加率は低下してくるものの、世界の人口は80億、90億を目指して増加し続けます。世界の全ての人々の胃袋を満たすにはどうしても、限られた土地という生産要素の中で、食糧の増産を進めなければなりません。ならば、米国など労働生産性を徹底的に高めた大規模な農業ではなく、日本など土地生産性が高い比較的小規模な農業が見直されてもいいのではないでしょうか。今日は、数式や数学ソフトの初めての導入です。厳密さに欠いた文章となりましたが、今後はより精緻なものにしていきます。
(参考文献)
浅利一郎、久保徳次郎、石橋太郎、山下隆之、『はじめよう経済学のためのMathematica』、日本評論社、1997年。
奥野雅寛編集、『ミクロ経済学』、東京大学出版会、2008年。
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