『ユーロからドルや円への資金流出が止まらない。外国為替市場ではユーロは対円で約11年ぶりの安値を連日更新。欧州債務問題の長期化でマネーが欧州から逃げ、これまでユーロを買っていた国内の個人投資家の売買も変わってきた。欧州では今後、重債務国の国債入札や重要会合が目白押し。不安心理から市場でユーロ先安感がくすぶっている。
ヘッジファンドなど投機筋の動向を映すシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物取引でユーロの売越額は3日時点で約174億ユーロとなり、2週連続で過去最高を更新した。一方、円の買越額は7060億円と、前週(昨年12月27日)の2.5倍へと急拡大した。安値圏のユーロから高値圏の円に資金が流入するのは市場のリスク回避姿勢を反映している』

グラフは、対円、対ドルのユーロ相場を表しています。円独歩高という状況ではなく、ユーロの独歩安という状況になってきました。そして、ここで実需に基づくユーロ相場はどの程度なのかを引き出す上で重要な記事が、『週刊東洋経済』2012.1.14号に掲載されていましたので、そのまま引用します。題目は『10年ぶりのユーロ100円割れ、輸出企業の実需売りが下落圧力』です。以下引用。
『実需面でもユーロには下落圧力がかかっている。「100円割れへと下落していく過程で日本の輸出企業の多くは、リスクヘッジのためのユーロ売り予約を入れていない。100円割れとなってようやく動き始めた」(高島修・シティバンクチーフFXストラテジスト)からだ。こうして実需の売りがユーロ相場を押し下げていくと見られ、1ユーロ=95円前後まで下落する可能性は十分にある。投機的なユーロ売りは、最終的には反対売買による差金決済となる。従って、過剰なユーロ安が投機筋の行動により招かれたものならば、ある程度の水準になれば、利益確定のユーロ買いが発生する。しかし、投機的なユーロ売りに、実需のユーロ売りが加われば、ユーロ底割れという事態を招くかもしれない。因みに、Webでの情報で、紙ベースの資料ではないのですが、対円ユーロ最安値は、2000年10月26日の1ユーロ=88.96円だそうです。年度内にも、最安値を更新するかもしれません。
11年12月以降105円と見ているトヨタ自動車をはじめとして、日本の輸出企業の多くは100円台をユーロ想定レートとしている。キャノンが年間で1円の対ユーロ円高で50億円強営業利益が減少するなどドルほどでないにせよ、ユーロ安は輸出企業の業績の足を引っ張る。欧州の景気減速と合わせ、二重の打撃となる』
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