2012年6月5日火曜日

外貨準備高のウェイトが下がるユーロ

2012年6月5日夜、G7(先進7カ国)による緊急電話会議が行われたようです。日本からは、安住財務大臣、白川日銀総裁が参加、株価の世界的な下落、急激な為替変動を懸念した動きであり、このブログ作成時には、その内容は明らかになっていませんが、世界経済の先行きに不透明感が増している中で、ヨーロッパに対して、金融機関の不良債権の抜本的な措置を早急に講じることが促されたようです。
連日、日本円の相場が話題となっていますが、この動きの背景には、中国による日本国債の保有残高を増やしていることなどが一つにの要因にあるようです。2012年6月4日付日本経済新聞夕刊に、中国の外貨準備に関する記事が掲載されていました。記事の題目は『日本国債、中国保有増、外貨準備、円に移す』です。以下記事引用。
『中国による日本国債の保有が急拡大している財務省・日銀が公表した国際収支統計によると、中国の日本国債の保有残高(短期国債を含む)は2011年末時点で約18兆円と、前年に比べて約71%増加し、過去最高となった。中国政府が米ドルで保有する外貨準備を、円を移す動きを強めている。
海外勢の日本国債の保有残高は11年末で約92兆円と、昨年に比べて27%増えた。特に中国の保有残高は09年から急増しており、10年には米国と英国を抜いて日本国債の最大保有国となった。過去2年間の伸び率は5.2倍にのぼる』

これは、中国は自国通貨高を抑制するため、常時、為替介入を行っており、大量の外貨を抱えており、これまでの米ドルに偏った外貨準備をユーロや円に振り替えた結果です。特に、昨今のユーロ債務危機に伴うユーロ安を嫌い、円へのシフトを高めているのではないかと考えられます。右図は、2003年から2010年までの海外勢の国債保有残高の推移を示したものです。2010年までのデータですので、この動きがわかりませんが、国際収支統計とは残高水準からいってやや異なることから、統計の差異の結果を反映しているかもしれません。
 中国のみならず、世界各国で外貨準備高として保有されているユーロの割合が低下しているようです。右図は、IMFのホームページから入手した通貨別の外貨準備高の推移を示しています。2010年、2011年に限れば、ユーロが割合を低下させている一方で、僅かですが日本円は逆に上昇しています。この主因は、円高、ユーロ安であることは否めませんが、各国の外貨準備に占める日本円の割合が高まっているということは、円の国際化を進める上でプラスだと感じます。ここで驚いたのは、米ドルの割合は高いのは当然として、英ポンドが円と同程度保有されていることです。大英帝国の名残なりか、それともロンドン・シティの国際的な地位を反映したのかはわかりませんが、英国のGDPの割合にしては大きい規模があります。
そして、2012年6月5日付日本経済新聞朝刊にユーロの外貨準備に関する記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は、『新興国中銀、ユーロ売り、外貨準備運用に変化』です。以下引用文。
『新興国の中央銀行はこれまでユーロの主な買い手だった。2011年通年と12年の最初の4ヵ月間、ユーロが比較的堅調に推移していた主な理由の一つは外貨運用担当者による買い需要だと考えられている。
しかし世界経済が減速し商品価格が下落するなか、中央銀行の外貨準備高の伸びは5月を通じて鈍化した。シティグループによる中央銀行の分析によると、外貨準備高は今年4月末がピークで、それ以降は減少に転じている。新興国の中央銀行の多くはユーロを売って自国通貨を買い増している』
中国が自国通貨を買い増すことは考えられませんので、ブラジルやロシアなど資源国を中心とした新興国が自国通貨安を防衛する目的で動いたのではないかと考えられます。

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