ところで、大口電力使用量という統計が、電気事業連合会から毎月発表されており、景気動向指数の一致系列にも採用されています。景気動向指数とは、景気の現状及び将来予測をする上で、重要な指数であり、ホームページにその目的が記載されていますので紹介します。以下引用文。
『景気動向指数は、生産、雇用など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指数の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測を資するために作成された指数である。以上が、内閣府掲載の景気動向指数の目的です。私が学生だったころは、もっぱらDIを中心に考えていました。この引用文を読んでいて、最近ではCIが重要視されていることを初めて知りましたが、景気転換点の判断には、引き続きヒストリカルDIが使用されているようです。因に、米国の景気の判断は、経済成長率が2期連続マイナスとなった時点で景気後退の判断がなされ、日本とは異なります。
景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)がある。CIは構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポ(量感)を、DIは構成する指標のうち、改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを主な目的とする。
従来、景気動向指数はDIを中心とした公表形態であったが、近年、景気変動の大きさや量感を把握することがより重要になっていることから、2008年4月値以降、CIを中心の公表形態に移行した。しかし、DIも景気の波及度を把握するための重要な指標であることから、参考指標として引き続き、作成・公表している。なお、景気転換点の判定にはヒステリカルDIを用いている』
そして、この節電の中で、景気動向指数の一致系列に該当する大口電力使用量の統計としての有効性が問われています。右図は、大口電力使用量の各年別の月別の前年同月比増減率を示したものです。2008年9月のリーマン・ショック以降、大口電力使用量は前年同月比で大きく減少を続け、2009年12月にやっとプラスへと転じています。その後、2010年に入ってからは増加を続けており、日本経済の立ち直りを反映したような結果となっています。直感的に景気の動向を捉えているという気がします。
しかし、東日本大震災を契機に、あらゆる状況判断、そして考え方の変化が求められています。2011年3月以降、大口電力使用量は前年同月比でマイナスを続けており、これは景気が失速しているという意味も確かにあります。もっとも、これは、原発の稼働が完全にストップし、日本全国で節電意識が浸透した結果が現れているといえます。2012年3月、4月は昨年の反動もあって大きく増加していますが、節電への取り組みは通年を続けて進められます。従って、企業の業績は底入れした感はありますが、引き続き電力使用量は、2010年のような大幅な増加はないと予想されます。
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