余り原発のことは知りませんが、原発の寿命を40年とした答申が出たようですが、やや疑問が残る結果です。古くなった原発は、システムを立ち上げた当事者が社内に残っていないことから、今回の原発事故につながった点は否定できません。設計図の劣化により、廃炉先進国といわれるドイツでも廃炉に向けた処理には苦戦しているようです。従って、人員のサイクル及び廃炉にかかる時間も考慮した場合、原発の寿命は20年、30年というところが限界ではないでしょうか。
ところで、2012年7月の電力会社別の電気料金が2012年6月17日付山陽新聞朝刊に掲載されていました。原発再稼働が決まったばかりでしたので、興味を持ってみてみました。右表が、一般家庭を対象とした会社別の電気料金で、6月からの引き上げ幅も記載されています。沖縄電力を除いていますが、北海道電力が最低の6,579円で、最も高いのが中国電力の7,321円となっており、742円もの開きがあります。中国電力の6月からの上げ幅も63円と東京電力の90円の次に大きく、節電要請はないものの、電気料金が家計を直撃する実態が明らかになりました。中国電力は、島根原発に関して不正行為があり、2010年度に関しては全く稼働しておらず、もともと原発の比率が低いということは知っていました。結果として、節電要請はないものの、関西電力のエリアへの融通電力を少しでも増やすためにも節電には協力していきたいと思っています。
ところで、原発が全く稼働していない現在、上記電気料金の差はどうして発生するのでしょうか。やや疑問が残ったので、2010年度のデータですが、電力各社別の電源別発電量を調べてみました。右図からいえば、むしろ、原発の比率が低い中国電力の方が電気料金が低くてもいいのではないかとは思います。もっとも、この料金の高さは、火力発電の中で、石油や原油等の比率が高く、LNGの割合が低いことに起因していることが推測されます。これについては詳しく調べる必要があります。しかし、2012年3月期の決算で黒字を出している電力会社は少なく、記憶では中国電力は黒字決算となっていたはずです。ならば、この引き上げ幅にはやや疑問が残るところです。電力会社は、地域の発展を左右します。今後の出方に注目しましょう。
もっとも、電力不足の中で、注目されているのが鉄鋼メーカーの発電能力です。これについて、『週刊東洋経済』2012年6月9日号に記載されていましたので紹介します。記事の題目は『電力不足が追い風、製鉄所発電の実力』です。以下引用文。
『今夏、電力不足が危ぶまれる中、鉄鋼メーカーの発電所に再び注目が集まっている。右図は、鉄鋼メーカーの発電力を示したものです。2012年10月には新日鉄と住友金属が合併することから、設立された合併会社が他社を圧倒することとなります。住友金属工業は、震災後、鹿島にある発電所を稼働させ、茨城県全域を賄うほどの電力を供給、東京電力のエリアの電力不足をカバーしたという実績があります。しかし、副生ガスを使うという記述からして、鉄鋼の製造が順調な時に初めて効率的なエネルギー源となるという感があります。鉄鋼メーカーの業績は厳しく、中国の経済成長の鈍化などマイナス要因があります。ここは、鉄鋼メーカーに頑張っていただき、日本の電力事情改善に貢献してほしていと思っています。
6月下旬、新日本製鉄の君津製鉄所内の火力発電所で新たに6号機が稼働する。すでに稼働中の3基と合わせた発電総量は115万キロワットと原発1基分に上る。同発電所は東京電力と折半で設立した共同火力で、発電した半分ずつをそれぞれが使う。
製鉄所では操業過程で大量の副生ガスが発生する。これを有効利用するため発電所を建設、工場で必要となる電力の一部を賄っている。君津や住友金属の鹿島など国内の大規模製鉄所では地元電力会社と折半で共同火力を運営してきた。また、1995年の電気事業法改正後は、火力発電を利用した独立系発電事業(IPP)にも参入。各社がこぞってIPP用の発電所を設立し、電力会社に売電している』
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