2012年1月15日日曜日

ユーロ加盟国の国債格付けの格下げ

予想はされていましたが、ついに米格付け会社によるユーロ圏9カ国の国債格付けが引き下げられました。2012年1月15日付け日本経済新聞朝刊の『欧州危機対応に警鐘、仏など9カ国格下げ』の見出しの記事がトップになっていました。昨年12月のEU(欧州連合)首脳会議で包括的な合意がなされたものの、対応が後手に回っていることが問題視されています。今後もECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)の資金力に危機対応に頼ってしまっている綱渡りの状況が続いくとしています。以下記事引用。
 『ユーロ圏には不吉な「13日の金曜日」だった。米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が昨年12月5日に格下げ検討を表明し、「Xデー」がいつかと市場関係者は気をもんでいた。発表直前の格下げ観測を受け13日の欧米株式市場は下落、ユーロにも売りが広がった。
 フランスとオーストリアは最上級格付を失い、ユーロ圏で「トリプルAクラブ」の国はドイツなど4カ国に減った。その影響は各国が共同で保証する安全網、欧州金融安定基金(EFST)が出す債券の格付けや調達金利に及ぶ可能性がある。EFSTは高い格付けの国が低い格付けの国を支える仕組み。ユーロ圏全体の信用が下がればそれも難しくなる』
 特に、厳しさを増しているのは欧州の金融機関である。ユーロ圏の国債を大量に保有している欧州の銀行が、資金ショートを防ぐため、銀行間で短期の資金を調達しようとも、貸し借りがしにくくなっています。このこれには、欧州の銀行が預金ではなく、債券発行等による資金調達の比率が高く、かつオーバーローンであるケースが多いことが背景になっています。また、資金余剰となっている銀行も、リスクの高い銀行への貸し出しを抑制、低利でも安全なECBに預金するという行動をとっている。結果、資金不足を銀行は、ECBの特別措置に基づいた1%の低金利の融資を受けることとなり、欧州の金融は事実上ECBの管理下に入っているという状況です。
 上記の表は、日本経済新聞社に掲載された表に、S&Pのホームページからのデータを付け加えたものです。英国、カナダ、オーストラリアが依然としてAAAの格付けを得ているほか、ユーロに加盟していない北欧のノルウェー、スウェーデン、デンマークも同様です(因に、ギリシャはCCの格付けで敢えて表に入れていません。現時点でのユーロ加盟国は17カ国ですが、ギリシャの記載がないため、16カ国のみの表示になっています)。BB+の格付けから投資不適格となります。つまり、現時点でキプロス、ポルトガル、ギリシャの国債が投機的水準となっています。特に、イタリアの2段階の下げは厳しく、イタリアの動向次第では、ユーロ危機による世界経済への打撃は大きくなることが予想されます。
 週明けのユーロ相場が気になるところです。1月13日の米国の株式市場はユーロ危機に嫌気を示し下落しました。週明けの日本の株式市場は、前日のNYでの株安及び円高の進行という2つの要因のため、下落する可能性が高いのではないでしょうか。

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