2012年1月22日日曜日

日米の就業者数の推移

日本で雇用統計といえば、私の場合、すぐ頭に浮かんでくるのが完全失業率です。米国も同様で、先日、2011年12月の失業率が米労働省から発表され、11月の8.7%から8.5%へと改善、2ヵ月連続の低下に驚いたばかりです。一方、日本では、現時点11月分のデータが公表されており(12月分は1月31日に発表されるとのことです)、9月と同じ4.5%となっています(総務省統計局労働力調査ホームページより)。失業率を直接比較した場合、日本は米国と比べてかなり低い水準をとどまっていることが分かります。もっとも、労働力人口や失業者の定義は、各国によってかなり開きがあり、失業者の定義は、米国よりも日本の方が低く見積もられているといわれています。また、雇用の流動性が高い米国と比べて、日本の場合、終身雇用の枠から一度外れると、再び元の枠へと戻るハードルは高く、日本の失業者や非正規労働の実態は米国よりも厳しいことが推測されます(注1)
米国では失業率と同様に就業者数も重視されます。それで、21世紀に入ってから米国と日本の就業者数の増減がどのように推移してきたのか興味を持ちました。左図がそれを示したものです(注2)。2009年の米国の就業者数の大幅な減少は、2008年9月のリーマン・ショックによるもので、同ショックが米国経済に与えた影響が如何に大きかったがわかります。2003年から2007年の間、米国の就業者は大きく増加、同時期の米国の経済が好調さを反映している一方、人口の差を考慮しても、日本の増加数は小幅にとどまっおり、回復感に乏しかったという印象です。日米の好況感の差は、就業者数の増減の推移にはっきり現れており、米国におけるこの期間における就業者数増加を考えれば、ある程度の反動が起こっても不思議はないと思います。因に、統計をとることができた、2001年〜2011年10月までの就業者数増減の合計は、米国は300万人超の増加であるのに対して、日本は100万人弱の減少となっています。
 米国は300万人も就業者が増加したのに、この間の失業率が6%弱から8.5%へと上昇、就業者が減少した日本は5%強から期近の4.5%へと逆に低下しています。これは、日米の労働力人口の差によるもので、米国経済の底力を表しているともいえます。つまり、労働力人口や15歳以上64歳以下の人口が減少傾向にある日本とは異なり、米国は毎月万人単位で就業者が増加しなければ、失業率がすぐに上昇してしまうことを意味しています。
米労働省のホームページをチェックしていると興味深いデータが掲載されていました。それは、州別の失業率です(注3)。最高のネバダ州の13.0%に対して、最低のノースダコタ州は3.4%にとどまっています。要因はわかりませんが、この開きは何と9.6%もあり、この差こそ、労働者の州を越えた移動を促し、雇用が流動化する一因です。因に、米国で一番人口の多いカリフォルニア州の失業率は11.3%で、全国平均を大きく上回っており、米国の雇用情勢は依然として厳しいことが伺えます。
(注1)大瀧雅之、『平成不況の本質-雇用と金融から考える』、第1章、岩波書店、2011年。
(注2)このデータは定義にやや厳密さを欠いている。これは、雇用統計に関する私の理解不足によるもの。
(注3)2011年11月時点。

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