2012年8月7日火曜日

競争力強化に向け、家電大手は経営統合を進めるべき

日本国内では、同じカテゴリーで分野でメーカーがひしめき合い、過当競争が行われているのが実情です。一方、川下に位置する大手スーパーや家電量販店では経営統合に向けた動きが数年前から加速し、まだまだ企業数は多いとはいえ、どの企業が生き残り、そしてどの企業は敗北するかが、段々とみえてきました。勝ち組は、大手スーパーでは、セブン&アイ・ホールディングスとイオン、家電量販店ではヤマダ電機、ビックカメラかとは思っています。そして、これら川下に位置し、消費者に近い企業の影響力が拡大することで、メーカーが提供する製品価格はディスカウントを迫られており、収益環境がさらに厳しくなることが予想されます。
 こうした中で、家電大手の2012年4〜6月期決算が発表されました。最終損益でパナソニックが黒字転換したものの、ソニーとシャープは赤字が拡大、ソニーは1万人、シャープは5千人規模のリストラをそれぞれ発表しています。黒字に転換したとはいえ、パナソニックでも売上高に対する最終利益の割合は1%を下回っています。競争相手であるサムスン電子の利益率と比べて、明らかに利益率が低く、抜本的な改革が求められるところです。
2012年8月3日付日本経済新聞朝刊に家電大手の決算発表に関する記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『家電、回復速度に差。ソニー、パナソニック黒字』です。シャープが出遅れている感の内容ですが、家電大手3社とも完全に出遅れており、次の劇的な一歩が必要だという印象を受けます。以下記事引用。
『シャープは2日、2012年3月期の連結最終損益が2500億円の赤字になる見通しだと発表した。1951年3月期以来、62年ぶりに無配となる。同日、決算を発表したソニーは通期予想を下方修正したものの200億円の最終黒字を確保する見通し。パナソニックも最終黒字を見込む。テレビを主力としてきた3社の再建スピードに違いが出てきた。
2012年3月期決算でそろって過去最大規模の最終赤字を計上した家電3社。だが今期に入ってからの回復力をみる限り、他の2社に比べシャープの構造改革の遅れと収益力の低迷が目立つ』
私は、この家電大手の決算をみて感じるのは、より一層の経営統合の必要性です。エルピーダメモリやルネサスエレクトロニクス、そしてジャパンディスプレイのような手法は通じません。この方法では、結果、抜本的な構造改革が進められず、危機に陥ってからリストラを進めるという事態に陥っているからです。このことは、2012年6月18日付のブログ『弱者連合の相次ぐ失敗、エルピーダ、ルネサス、そしてジャパンディスプレイ』でも記述しました。つまり、寄り合い所帯では、それぞれの企業の出身者での軋轢がある上、経営不振に陥る前に、先を見越したリストラをしにくいことです。ジャパンディスプレイは、今はアップルの新型iPhoneの受注を得ており安定していますかが、いずれはエルピーダ、ルネサスの後を追っていく気がします。
つまり、私が言いたいのは、徹底した企業統合です。テレビ事業だけでも、日立が撤退したとはいえ、依然としてパナソニック、ソニー、シャープ、東芝、三菱電機が製品を提供しています。競争相手である韓国では、サムスン電子とLGだけです。これら企業と競争していくには、国内のメーカーの数が多すぎるのです。これは、家電大手だけではありません。自動車でも、米国では3社しかないのに、日本にはトヨタ、ホンダ、日産、マツダ、三菱自動車、ススギなどがあります。また、カメラのメーカーには、キャノン、ニコン、パナソニック、オリンパス、ペンタックスがあり、過当競争をしているのです。確かに、この過当競争がこそが新しい技術を生み、それらがもとに新たな製品が作り出されているのは事実です。アップル社のiPhoneは、日本のガラパゴス携帯があってこそうまれた製品であると自負してもいいと考えています。
企業間の競争はいいことです。消費者にとってプラスであることは間違いないです。しかし、消費者は、消費者である前に、労働者でもあるのです。労働者として所得を得てこそ、安定した消費活動を行うことができます。独占禁止法の問題もありますが、国際的な競争が激しい中で、同法の適用もないと思います。経済のグローバル化が進んでいる中で、国内の企業数が減り、寡占や独占が進み、仮にレント(超過利潤)が発生したとしても、海外メーカーから輸入により賄うことができます。それは、国内市場でレントがあれば、それを目指して、海外の企業が市場開拓を進めるはずです。日本の流通システムに問題があり、海外の企業が進出しにくい環境にあるともいわれていますが、スマートフォンでのアップルやサムスン電子の活躍は、海外企業による日本市場の開拓は不可能でないことを示しています。グローバル時代の企業のあり方は、独占禁止法のあり方を含め、今までとは違った視点が求められるのです。

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