日本はバブルが崩壊して以降、土地価格は下落し続けています。今、「米国の日本化」という表現があります。日本がバブル処理に失敗し、失われた20年が、失われた30年へと突入しようとしている中、米国も同じ道を辿るのかが、最近では注視されているとろこです。しかし、日本と米国は根本的に異なります。それは、人口が増加し続けており、月ベースで10万人以上の雇用を創出しなければ、失業率がすぐに上昇してしまいます。今後も確実に人口が増えることから、米国の住宅価格は、日本とは異なった動きをするのではないかと考えています。
2012年6月の米S&Pケース・シラー住宅指数が8月28日に発表されました。季節調節前の数値で、前年同月比で0.5%上昇するなど明るい兆しが見えてきているようです。このケース・シラー住宅指数に関する記事が2012年8月29日付日本経済新聞夕刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『米住宅、底値探る。6月価格指数、1年9カ月ぶり上昇。低金利・景気回復で』です。以下引用文。
『【ニューヨーク=西村博之】米住宅市況に底固めの動きが出てきた。28日発表したS&Pケース・シラー住宅指数は、主要20都市の値動きを映す指数が前年同月比で1年9カ月ぶりに上昇に転じた。最近の低金利や緩やかな景気回復が背景にある。ただ住宅市況の先行きには需給面などで不安も残るため、今後はしばらく一進一退の動きをするとの見方が多い。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がまとめた20都市の指数は、6月が142.2と前年同月比で0.5%上昇した。住宅減税があった2010年9月以来のプラスとなった。前月比でも2.3%上昇と00年に指数算出を始めて以来の上昇率だった。住宅バブル崩壊の打撃が大きいフロリダ州やカリフォルニア州を含めて、市況の改善は広範囲に及んだ』
上表は、S&Pホームページ掲載の主要20都市のケース・シラー住宅価格指数を示しています。前年同月比でマイナスとなったのは、アトランタ、シカゴ、ラスベガス、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンディエゴの6都市にとどまり、フェニックスでは2桁のプラスとなっています。ところで、このケース・シラー指数は、2000年を基準に住宅価格を指数化したものです。結果、各都市の指数の格差は、その都市の景況感を反映したものとなっています。自動車メーカーの拠点であるデトロイトが71.18ポイントにとどまっているのが象徴的です。一方、ロサンゼルスは、バブル崩壊後の下落幅が大きいとされていますが、依然として168.57ポイントと20都市の数値である142.21を大きく上回っており、米50州で最大の人口を抱える同州の躍進が伺えるデータとなっています。
それでは、ケース・シラー住宅価格指数のある1987年からのデータを追ってみます。上図は、同じくS&Pホームページのデータから作成したケース・シラー指数の推移を示しています。Composte-10とComposite-20のデータが出そろった2000年当たりから住宅価格が急上昇し、リーマン・ショックが発生した2008年9月ではなく、少しばかり前の2006年当たりにピークを向かえていることがグラフから読み取れます。同ショックの前に、米国の住宅バブルの崩壊は既に始まっていることに驚きを感じます。そして、住宅指数が示す景況感と、マネー全般の動きに若干のずれがあり、リーマン・ショックの発生により住宅バブル崩壊の程度が加速し、それがさらなる金融システム全般を破綻させたことが推測されます。
しかし、私は、米国経済に関しては楽観的な見方を持っています。やはり強いのは、世界の人々を自国へと引きつけるという魅力が依然してあり、他の先進諸国と比べて、その魅力が圧倒していることです。
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