2012年4月4日水曜日

止まらない東京への集中

東京への集中が止まらないようだ。2011年には象徴的なことが起こりました。それは、東京証券取引所と大阪証券取引所の経営統合に向けた合意がかわされたことです。経営統合という言葉が用いられていますが、事実上、東京証券取引所による大阪証券取引所の吸収合併であり、この分野での東京へと集中が加速しそうです。今後、名古屋証券取引所など、このほかに存在する証券取引所の地位は一層低下するばかりか、存在意義を問われることになるでしょう。この結果、地方に生活の本拠地を置く私にとって寂しいことに、東京以外に本社を置く企業が減ることとなります。
東京への一極集中は望ましくなく、地方への分散や分権の必要性が長年議論されています。道州制の導入なども、その流れの中にあるといえます。しかし、企業の集中度合いを考えれば、東京への集中はむしろ進んでいるようです。右表は、米国、日本の国別の企業の時価総額ランキングを示しています。日本の時価総額ランキング上位10社のうち、なんと7社が東京に本社を置いています。NTTドコモ、NTT、JTは公社時代の名残りであり、これら企業が未だに上位にいること自体が信じられないことです。三菱UFJと三井住友FGは金融セクターとしての東京の地位によるもので、公社系の3社と含めて、10社のうち5社が規制の対象業種であることが特徴です。東京に本社を置く例外的な存在は、ホンダとキャノンで、外国人株式保有比率がともに高く、国際的に知名度もある製造業であることです。救われるのは時価総額1位が愛知に本社を置く、トヨタ自動車であることと、ファナックの本社が山梨県所在の私が知らない村であることです。日産自動車はルノー傘下の企業ですので論外です。
一方、米国はといえば、ニューヨーク州か、カリフォルニア州のどちらかに本社を置く企業が多いのかと思っていました。しかし、実際に調べてみると、カリフォルニア州に本社を置くのは、アップル、シェブロン、グーグルの3社で、ニューヨーク州に至ってはIBMの1社だけです。AT&Tがニューヨークに本社を置いていないのは意外でした。アップル、グーグル、マイクロソフトなどは新興のIT企業です。ウォールマートも1969年設立ですので、歴史は浅いといえます。これら比較的に新しい企業が4社もランキングインしていることは、素晴らしい事実であるといえます。
私が言いたいのは、日本の企業は新陳代謝が進んでいないということです。米国でもAT&Tやゼネラルエレクトリック、エクソン・モービルなど歴史のある企業が上位に依然としてくい込んでいるものの、それらの業態は設立時代からの原型はとどめていないというのが事実です。日本にもアップル、マイクロソフト、グーグル、ウォールマートみたいに新しくて、国際的にも競争力がある企業が伸びてもいいのではないでしょうか。それを進めるには、まず東京からの脱出や東京の呪縛からの脱却を図ることが不可欠だと思います。製造業の主戦場は、国内ではなく海外になっています。特にアジアを意識して、九州などに本社機能を移すのもいいのではないでしょうか。
私は岡山県と京都府以外に住んだ経験がありません。しかし、大分県に転勤した友人の誘いで、何度か大分県に行ったことがあります。大分県はいいですね。温泉の湧水量は何と日本で一番多いそうです。そして別府の温泉は奇跡です。場所によって湯質が異なるのです。また、関サバ・関アジに代表される海の幸、豊後牛などの山の幸にも恵まれています。東京で通勤地獄にもまれ、時間を浪費するよりも、大分県などにいっそう本社機能を移転するなどして、従業員が生活をする環境をがらりと変えることで、個々人の発想の転換を促すこともできます。
この頃、日本は意外に広いと感じています。それは物理的に広いという意味ではありません。江戸時代にヒトの往来を制限したことで、地域地域に色々な文化が根付いています。それぞれの地域には衣食住全てにおいて個々の文化が存在します。そういう意味で日本は広いのです。東京みたいに狭いところへ1千万人以上ものヒトを閉じ込めることは、これら地域に根付いた文化を軽視しているといえます。情報がないから仕事ができないという人々がいるかもしれませんが、ネットで世界がつながっているのですから、情報は岡山県にいても、リアルタイムのものを得ることができます。事実、このブログに綴っている内容も、海外のホームページからダイレクトに集めたものが含まれているのです。
今、視点を変えた企業経営が求められています。視点を変えるための発想の原点は、生活している環境に左右されるかもしれませんね。

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