2012年4月8日日曜日

コマーシャルペーパーの発行残高

2012年2月16日付『日本銀行のバランスシート』のブログにて、日本銀行の貸借対照表を掲載しました。その中で、平成23年9月末の貸借対照表の資産の部に「コマーシャルペーパー等」が1兆4,646億円計上されていることに気づきました。国債84兆円3,671億円とは比べて比較にならない残高ですが、平成17年9月末の貸借対照表には計上されていなかった勘定科目です。最近では、日本銀行は、コマーシャルペーパー(以下CP)を積極的に購入しており、市場へと資金供給するための手段を増やしているという姿が伺えます。
実は、2012年2月6日付『欧州銀の負の影響』のブログでも、CPについて僅かですが言及しています。そのブログを書いているうちに、外貨MMFの投資対象に外国の大手銀行が発行したコマーシャルペーパー(以下CP)が組み込まれていること知りました。CPは私の資金運用に少なからず影響を与える存在です。そこで、CPについて少しばかり調べてみました。
 まず、市場規模です。ある記事によれば、2011年末の残高が16兆円5,427億円に達したとの記述がありましたが、残念ながらこのデータを見つけることができませんでした。図は、日本銀行統計局発表のデータから作成したものです。2011年末時点で、CPの発行残高は、銀行等引受分10兆1,227億円、銀行等発行分6,144億円だということがわかりました。これ以外にもMMFなどが購入している分もあるそうで、最近では巨額な補償問題を抱えた電力会社が積極的にCPを発行、機関投資家が引き受けているそうです。本来は、長期の借り入れで調達すべき資金ですが、電力会社のリスクを嫌ってか、長期での資金調達ができない結果、電力会社はCPへ依存しているそうです。16兆円という規模は、CD(譲渡性預金)35兆5,866億円、公社債現先21兆7,477億円と比べてやや小さいものの、無担保コール3兆6,686億円、有担保コール13兆9,056億円の市場規模を上回っており、企業の資金調達の手段としていは定着しているようです。
そして、CPとは何かということで簡潔にまとめられた記事がありましたので、引用させていただきます。引用元は『プレジデント』2012.3.5号で、記事の題目は『「会計」考現学112』です。以下引用文。
『CPは支払い期日までの期間が短い約束手形で、額面の金額から利息分を引いた額が貸し付けられる「割引方式」で発行される。償還までの期日は1年未満で、特に30日以内の短期で発行されることが多い。
発行できるのは上場会社の中でも一部の優良会社に限定され、担保は不要。その分、確実に支払い(返済)ができるという信用性が必要とされる』
日銀の公開市場操作の結果、資産の部に組み込まれていると思われるCPの残高です。企業の短期の資金調達ばかりでなく、MMFの運用先にもなっており、今後の市場規模の拡大が見込まれる金融商品でしょう。

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