2012年4月24日火曜日

決定したIMFの資金基盤強化

G20の合意がなされ、IMFの資金基盤強化が決定されました。欧州債務危機は、次ぎのターゲットはスペインだとも指摘されており、早急な合意が求められるところでした。欧州債務危機の再燃は、世界経済の下方へとシフトさせる要因であり、現時点における最大のリスクファクターであると、私は考えており、早々に日本経済新聞、読売新聞、朝日新聞の3誌を購入し、全てを読んでみました。内容は、ほぼ同一であったものの、それぞれに特徴のある図表を用意し、読者に理解しやすくする努力していることがよく分かりました。しかし、読売新聞だけが、重要なポイントを適切に表現していましたので、このIMFの問題に関しては2012年4月22日付読売新聞朝刊を引用させていただきます。以下引用文。
『20日に閉幕した主要20か国・地域財務相・中央銀行総裁会議は、欧州危機の拡大を防ぐため、国際通貨基金(IMF)の資金基盤を増強することで合意した。その裏では、当初の目標を大幅に引き下げて「合意」の形を整えるなど、薄氷を踏むような駆け引きがあった。(中略)
IMFは当初、危機に陥った国に「融資できる金額を5,000億ドル」増やす目標を掲げていた。
ここでいう「融資できる金額」は、今回合意した4,300億ドルの「拠出総額」とは意味が異なる。IMFは各国からお金を集めても、内部ルールで約8割しか融資に使えないからだ。5,000億ドル融資するには、6,000億ドル以上集める必要があった』
上記の記述に従えば、現時点での融資可能額は3,800億ドルであるので、4,300億ドルの拠出額の上乗せは、4,300億ドル×0.8=約3,400億ドルとなり、合計で7,200億ドルの融資が可能となることを意味します。一方、日本経済新聞では、3,800億ドル+4,300億ドル=8,100億ドルという表現となっています。私は、IMFの仕組みを詳しく知っている訳ではありませんので、どちらが正しいかは現時点では分かりません。しかし、一般的に考えて、拠出額の全てを融資に回せるかといえば、そうではないというのが事実でしょう。私の見逃しかもしれませんが、この点に注意しなければ、記事を読んでいて混乱しますので注意していただければと思っています。右表は、今回のIMFへの国別の拠出額を示したものです。米国が1兆ドルもの財政赤字を抱えていることから、消極的な姿勢をとっていた反面、わが国は一国としては他国を圧倒する600億ドルの拠出となっています。久しぶりのリーダーシップともいえる行動であり、評価するべきと思います。しかし、CDSなど保証債務を通じて、最大の打撃を被るのは米国ですし、ギリシャ政府に不正会計を吹聴したのも、悪名高きゴールドマン・サックスといわれています。欧州債務危機の根本的な原因を招いたのは、米国であもあり、今回の拠出への消極的な姿勢は論外ともいえる対応です。

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