2012年4月17日火曜日

インドの貧困問題

私は、今はまっている海外ドラマが2つあります。一つは、Huluでストリーミング配信されている『ビッグバンセオリー』で、もう一つはWOWOWで放送されている『救命医ハンク』です。この2つにドラマに共通している点が一つだけあります。それは、インド系、もしくはインド出身の俳優が活躍していることです。『ビッグバンセオリー』では、インド出身の物理学者のラージが、お酒を飲まなければ女性と全く話すことができないというキャラで出演、「おたく」4人組の中で微妙な味加減を出しています。一方、『救命医ハンク』には、医療助手のディビア・カダイが活躍、スラリとした容姿で、洗練された身のこなしがかっこよく、彼女も同様にインド系です。もっとも、2人のキャラは真逆にあり、2つのドラマを交互に観ていると、とても楽しくなります。インドには色々な人々がいるのだと感心するとともに、米国をはじめ世界で活躍しているインド系の人々が多くなっていることを痛感するシーンでもあります。
もっとも、本国であるインドは、数字が表している以上に厳しい現実があります。『週刊エコノミスト』2012年4月17日号にインドの貧困問題に関する記事(注)がありましたので、引用させていただきます。以下引用文。
『インド政府はこのほど、貧困層の人口推計値を発表した。2009年度の貧困層人口は3億5,500万人と全人口の30%で、5年前の37%から7%減少したとはいえ、なお多くの貧困者を抱えていることになる。貧困層の割合は州により大きく異なり、最低9%から最高54%まで大きくばらついている。
この推計では、貧困層の定義が問題になる。今回使われた定義は、カロリー摂取に必要な食糧支出、教育支出及び医療支出の額によって設定されている。だが、1人1日当たり支出額に直すと、都市部で29ルピー(約47円)、農村部で22ルピー(約37円)になり、とても生活できる金額ではないとの批判が上がっている。つまり定義次第では、貧困層はもっと増えるということだ。(中略)
インドでは、交差点にいる裸足の物乞い、ほとんど豆の入っていない豆カレーを食べる家族など、あちこちに貧しい人々の存在を感じる。一方、貧しさを生む状況は一律ではないので、本来は貧困層の定義も一律にする必要はない。貧困家庭それぞれに届くような対策プログラムが望まれる』
インドでは、世界一華やかな結婚式が有名です。一方で、経済発展から取り残され、貧困状態にある人々の数でも世界一です。経済発展は望ましいといえますが、貧困問題を解決した上でなければなりません。右図は、主要国の人口推計を表したものです。2020年時点でインドの人口は中国と並び、2050年にはインドの人口が中国を4億人も上回ると推計されています。注目すべきは、インドと宗教的には異なるものの、英国の旧インド領であったバキスタン、バングラデシュを合わせた人口です。2010年で15億4千万人であったものが、2050年には21億6千万人になります。これら3国に共通しているのは、貧困問題が解決していないことです。すぐにでも富める国からの貧困撲滅に向けた支援がなければ、取り返しのつかないことになるでしょう。
(注)記事のタイトルは『インド、貧困層が人口の30%、定義次第でさらに膨らむ』。渡辺泰介(JICAインド事務所次長)。

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