2012年10月5日金曜日

成熟化するパソコン市場とバフェット氏によるインテル株売却

 2012年8月15日付日経新聞Web刊に、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが、2012年4〜6月期に、半導体世界最大手の米インテル社の全株式を売却したとの記事が掲載されていました。その報道後、どのようにインテルの株価が推移するのかを追っていました。案の定、同社の株価は急落し、比較的に堅調に推移している米株式市場の中で取り残される形となりました。一つの投資会社の行動といえども、バフェット氏の株式市場への影響力の大きさをまさに痛感しているところです。

 同記事は、「事業内容が理解できない」とIT関連の株式の投資を見合わせてきたバフェット氏が、昨年から方針転換し、インテルの株式も投資の対象とした旨記述しています。もっとも、世界的な景気減速に加え、パソコン市場の飽和感からインテルの業績も下降線を辿っており、売却を決定したとみられています。逆に、IT関連では、IBMを買い増したそうです。投資会社バークシャーの保有株式は規模は大きく、保有状況を米証券取引委員会(SEC)に提出する必要があり、それにより保有株式数が判明したとのことには驚きを感じます。確かに、パソコン市場は、既に飽和したと考えてもいいと思います。それに伴い、そのCPUのほとんどを提供しているインテルの業績が低迷してもおかしくはないでしょう。しかし、インテルは、過去にも苦境を乗り越えたという実績があります。日本企業に追いつめられ、DRAM事業から撤退した後、CPU事業へと特化、CPU、ペンティアムのバグ騒動で世界の人々に、インテルの存在を知らしめたことは余りに有名です。インテルには底力があり、主力事業の方向転換は可能であると考えています。例えば、タブレット、スマホのCPUの分野への進出です。今後、インテルの経営方針に期待したいとろこです。


 このパソコンの飽和に関する記事が、『日経ビジネス』2012年10月1日号に掲載されていましたので紹介します。2012年4〜6月期のパソコンの出荷台数は、全体では、前年同期比▲0.1%(▲はマイナス)となり、米国のヒューレット・パッカード、デルが大きく出荷台数を減少させています。一方、中国、台湾などのメーカーは、大きく出荷台数を伸ばしており、中国など新興国などでは、パソコンの普及はまだまだという印象を受けます。記事の題目は『伸び悩むパソコン大手、新機軸』です。以下引用文。

 『米調査会社ガートナーによると、2012年4〜6月期の世界のパソコン出荷台数は前年同期比0.1%減少。景気減速に加え、スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレットなど新たなモバイル端末の台頭が、従来型PCの需要に影を落としている。
 米インテルのCPU(中央演算処理装置)とマイクロソフトのOSを各社が横並びで搭載し、価格や動作性能のわずかな差で勝負が決まる時代は終わりつつある。顧客のニーズが多様化する中、改めてデザインや利用形態に着目し、開発戦略を見直す動きが本格化する。共通するのは、操作性や携帯性に優れたタブレット的機能の取り込みだ。
 中国のレノボ・グループは今年5月、湖北省武漢に600億円超を投じてタブレットやスマホの生産・研究開発拠点を作ると発表。「4スクリーン時代」への対応を急ぐ。中でも注力するのがタブレットや、タブレットとノートPCの両方として使える製品群だ』
 ここで、「4スクリーン時代」という聞き慣れない言葉があります。「4スクリーン」とは、薄型テレビ、従来型PC、スマホ、そしてタブレット端末をネットワークでつなぎ、データはクラウド上に保存することを指すようです。しかし、この「4スクリーン」の全てを手に入れている企業は、現在のところないそうです。代表的な企業の例としては、グーグルは、PC、TV、アップルはTV、クラウド、ソニーはスマホ、タブレット、クラウド、マイクロソフトはスマホ、タブレットの分野で現在、それぞれ注力しています。これは、逆の意味では、注力している分野では競争力が弱いことを示しており、全方向で主導権を握っている企業はないのです。つまり、全ての企業にチャンスが残されているのです。成熟したパソコン市場のように、マイクロソフト、インテルの蜜月を示した"Wintel"といった言葉は、スマホ、タブレットなど新たな市場では、まだ存在していません。マイクロソフトによる独占の弊害の結果、ウィルスが蔓延する事態を生じさせ、パソコンに使いにくい代物といった印象を与えてしまいました。パソコン市場の成長余力を低下させた一つの要因ともいえるでしょう。タブレット、スマホの新たな市場では、独占を許さない方向で市場が成長することを切に望みます。

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