2012年10月1日月曜日

2030年における電気料金の試算と電力10社の電気料金

 最近のニュース番組で、沖縄にデータセンターを設置する企業について特集を観ました。電気を求めた沖縄への進出は、安い電気料金を求めたものではなく、原発依存度がゼロであり、計画停電の可能性がない、電気の質の高さに着目した動きであるようです。下図は、2012年9月28付日本経済新聞の記事掲載のデータから作成した電力10社の電気料金と2010年の原発依存度を示しています。ここで面白いのが、原発事故を起こした東京電力は論外として、電力料金が高いトップ2社は、沖縄電力の7,701円、中国電力の7,240円だということです。
 沖縄電力は、上述した通り、原発依存度はゼロです。一方で、中国電力は国で定められた検査等で不正があったことから、2010年は、ほとんど原発が稼働していない状況が続き、結果として原発稼働率が大きく低下、同年の原発依存度は3%にとどまりました。中国電力は、もともと原子力発電の割合は低く、建設中の島根原発3号機が稼働しないかぎり、原発比率を高めるには限界があります。リーマン・ショック直前の原油など燃料価格高騰時には、中国電力は利益率の低下に苦しめられ、他の電力会社が年間配当金が60円であった中、50円を堅持していました。今回は、かつて60円の年間配当金を出していた九州電力が、2012年3月期に50円に減配をした上、さらなる利益率が低下してことを背景に、次は無配になる可能性が高まっています。現時点では詳しい情報はないのですが、中国電力は年間50円配当を維持する模様です。
 沖縄電力は原子力発電に全く依存していないことから、原子力発電所に関する減価償却費などのコストは存在せず、これ以上、以下もないというのが沖縄電力の電気料金であるといえます。一方で、中国電力は、保有する原子力発電所への減価償却費の負担がある中で、ある程度の利益を出すとともに、配当金も維持しています。原発ゼロの姿とは、今の中国電力に近いものへ少なくともと持っていかない限りは、全ての電力会社が原発ゼロにする前に倒産する可能性が高いといえます。今でも原子力発電所の減価償却費は発生しており、建設してしまったのですから、資源は有効に使うべきです。原発再稼働により新たに発生した余剰資金でもって再生可能エネルギーの開発へと投資すればいいのであって、現時点でゼロは感情論です。早急な原子力発電の再稼働の方が現実的、かつ合理的であると思います。
 こうした中で、2030年の電気代試算に関する記事が2012年9月28日付朝日新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『原発ゼロで電気代2倍。あおる危機感・・・実は原発維持でも1.7倍』です。以下引用文。
 『原発をなくすと、電気代が2倍に−。そんな試算をもとに、原発の必要性を訴える声が広がっている。根拠は、2030年を想定して政府が出した数字の一つ。実は、同じ試算では「原発を使い続けても電気代は1.7倍」ともある。危機感をあおる数字だけが、ひとり歩きしている。(中略)
 原発を動かさないと、なぜ電気代は2倍になるのか。いずれの根拠も、政府が6月に公開した数字にたどりつく。30年の原発比率を「ゼロ」「15%」「20%」「25%」とした場合の家庭の電気代への影響を、慶応大の准教授や地球環境産業技術研究機構など4カ所が試算したものだ。
 原発をゼロにする場合、30年の2人以上世帯の平均的な電気代は、10年と比べて1.4〜2.1倍になるという。石油や天然ガスなどの値上がり分が含まれるほか、再生可能エネルギーを広げていくには、原発を使い続けるよりお金がかかるとされるためだ』
 しかし、試算をみて驚くのは、試算結果の開きです。ゼロシナリオでは、最大の2.1倍〜最小1.4倍、25%シナリオでは最大の1.7倍〜最小の1.2倍です。この違いは詳細を追う必要はありますが、計算根拠として一番重要と考えられる石油や天然ガスの価格の見通しに大きな差であると考えてもいいでしょう。今後、世界各地でシェールガスという新エネルギーが開発されたとしても、20年後のエネルギー価格はかなり上昇していることが予想されます。そして、シェールガスに限らず、資源は貴重であり、有限であるであることから、将来世代のために残すべき資源の一つであるといえます。
 現代社会は、豊かなエネルギー資源を基礎として成り立っています。食料にしても、漁業にしても大量の燃料を使用します。ほとんどの人々が、原発再稼働に反対しているようですが、かといって限られた資源である天然ガスなどを使い尽くすという姿勢は許されません。あくまで厳格な調査結果が出てからですが、私が考える現実的な施策とは、危険がないと判断された原発は速やかに稼働させること、稼働によって得られた利益の全てを再生可能エネルギーに投資させるというシステムをつくることです。そして、この再生可能エネルギーの開発に当たっては、人件費を引き下げた電力会社ではその会社に任せ、人件費を引き下げない態度をとった電力会社の場合、全て税金で徴収することを約束させることです。それは、人件費を引き下げない電力会社に任せた結果、高コストの再生可能エネルギー施設を開発してしまう恐れがあるからです。国民総意の同意を必要とする原発再稼働には、大企業との比率でも高いとされる電力会社の人件費削減は不可欠であるといえます。

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