2012年7月9日月曜日

激突するサムスン電子と米アップル

韓国サムスン電子と米アップル社に共通するものといえば、両社がともにスマートフォン販売大手であること、そしてともに好調な業績を維持していることです。日本の電機メーカーの代表格であるパナソニック、ソニー、シャープなどが散々足る決算内容であったのに対して、うらやむような結果であり、今後も引き続き堅調な伸びを維持するものと予想されています。
ここで面白いのが、2012年1〜3月期の売上高で、韓国サムスン電子と米アップル社が拮抗していることです。右図は、両社の売上高、営業利益、純利益を示したものです。さすがに営業利益、純利益では米アップル社がファブレスの企業形態をとっていることもあり、設備投資、研究開発に割合が低いことから大きな開きがあります。しかし、売上高は、サムスン電子が400億ドル(注)、米アップルが392億ドルとほぼ同水準となっており、今後、どちらが勝者になるかが分かる基準となる決算期となっていますので記憶に留めておきたいと思っています。
 韓国サムスン電子の躍進は、スマートフォン分野では特に目を見張るところがあります。同社が販売する新型のスマートフォンであるGalaxy SⅢには、日本のガラパゴス仕様とも言われた「おサイフケータイ」にも対応していることに驚きを感じます。米アップルのiPhone4Sは、この点においてはやや出遅れているものの、同機能が世界標準規格が未だに決定していない中での標準装備は、サムスン電子の強さでもあります。右図は、2012年1〜3月期のメーカー別のスマートフォンの販売台数のシェアを示したものです。サムスン電子が1位、米アップル社が2位となっており、両社を合わせたシェアは50%超にも及びます。iPhoneの最新機種の先んじて、Galaxy SⅢを販売していることから、4〜6月及び7月〜9月期はサムスン電子がシェアを一挙に伸ばすことが予想されます。
 もっとも、両社は世界各地で訴訟合戦を繰り広げていることは一般にも知られています。これは、主力製品であるスマートフォンに関するもので、ジョブス氏の後を引き継いだクックCEOの元で和解の方向で収束する流れも一時あったのですが、最終的に和解交渉は決裂、両社は本格的な競争を繰り広げることとなりました。もっとも、このバトルで漁夫の利を得るのは日本企業のようです。因みに、私が持っているアップル社のMacBookAirにはサムスン電子製のSSDが搭載されています。Airには東芝製SSDが搭載されている機種もあり、どちらの製品のスピードが速いのかが話題になりました。新型のiPadでもサムスン電子製の液晶パネルからシャープ製への一部切り替えがあったようです。また、次期iPhoneの液晶ディスプレーは、イン・セル型のシャープ製が使用される噂があります。今後、どのような展開になるかは不透明感がありますが、米アップル社によるサムスン電子外しは露骨になるはずです。この中で、台湾の鴻海グループによるシャープへの出資です。日本企業と台湾企業(フォックスコン)と米国企業に挟撃される形で、サムスン電子が安定した収益を得られるかがみどころになります。
(注)サムスン電子の決算発表はウォン建てであり、ドル-ウォン相場により比較時点により相違する。

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