2012年7月26日木曜日

予想される就業者数の減少とその対策

日本では、年間で生まれる子どもの数は、大体100万人です。寿命が80歳として全ての人々死亡しなかった場合、単純に計算して、将来の日本の人口は8,000万人となります。かなり雑な計算ですし、平均寿命も実際とは違います。しかし、イメージとしては、年間100万人の出生数から想像される日本の将来人口は、8,000万人というのは遠からず、近からずの数字だと思います。
 こうした中で、就業者数の減少に対する危機意識が最近では叫ばれているところです。2012年7月23日のNHK、午後7時のニュースで就業者数の今後の推移についての報道がされました。これは、厚生労働省の研究会が試算したデータで、このまま対策をとらず、放置した場合、就業者数は2010年の6,298万人から845万人減少し、2030年には5,453万人となるとのことです。就業者数の減少は、経済規模の縮小をもたらし、働き手の減少をもたらすとともに、経団連のシンクタンクでは、国内需要の減少に言及、マイナス成長などにより2030年以降先進国から転落する可能性を示唆しています。また、社会保障制度への影響は深刻であり、高齢者の増加にともなって、保険料の支払いが増加、個人や企業の社会保険料の負担の増大を生み、経済が低迷する可能性があるとしています。
この就業者数の減少をくい止める対策として、上記の研究会は、①若者・子育て中の女性・高齢者の働く環境を整備するとともに、②2%程度の実質経済成長を実現することが必要であると提言しています。上記の対策をとった場合、845万人の減少が213万人の減少へと縮小するとしています。
私は、こうした対策には概ね賛成の立場をとりますが、やはり若者が巣立ってこそ将来への持続的な成長があります。子どもを育てている世帯に対して、国民総意のもと社会全体が直接的に支援することが最も有効な手段だと考えます。こうした中で気になるデータが2012年7月22日朝日新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『貧しい子ども、日本で増えている。国連発表で15%。教育の機会を奪われる恐れも』です。右図は、上記記事掲載のデータから作成したグラフです。気になるのは、1人当たりの所得が3万1千ドル以上の国の中では、わが国が、米国、スペイン、イタリアに次いで4位となっている点です。15%という数字は、ノルウェー6.1%、オランダ6.1%、フィンランド5.3%、アイスランド4.7%と比較して3倍近い水準です。ところで、貧困率とは何かという疑問が生じます。この記事にそれを説明している部分がありましたので引用します。以下引用文。
『まず国民一人ひとりの可処分所得を計算する。可処分所得とは、1年間に働くなどして手に入れたお金から、税金や社会保険料を引いた「実際に使える手取り分のお金」のことだ。次に、子どもを含めた国民全員を、その額の高い順に並べ、真ん中にあたる人の所得を中央値とする。その中央値の半額を「貧困ライン」と決め、所得がそれ以下の人を「貧困」とみる。この人たちの全体に占める割合が貧困率だ』
上記引用文の中で、アンダーラインを引いた部分が分からないところです。そして、記事を読んでいくと、子どもの収入は『世帯の収入と人数に応じて調整した金額を所得とみなす』としています。今後、消費税率の引き上げにせよ、子どもを育てている世帯には厳しい現実が待っています。従って、企業を含めた、国民総意の意見として、社会で子どもを育てるのだという考えがもっと浸透すればと思っています。そうすれば、子育て世帯を支援するNPO、NGOの活動やそれらに対する寄付などが増加する可能性もあります。特に、良識的にみて過剰な蓄財をしている引退世代は、国民の義務として生活に必要な蓄財以上は拠出するべきであり、欧米のように寄付の文化が育てばと考えています。そうすれば、社会全体の支援を通じて、子育てをする女性の就業率も上昇しますし、今後、20年間で成人を迎える若者自体が増え、活力のある社会へと変化すると、私は信じています。

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