2012年7月3日火曜日

ブラジル、インドの成長率が低下、BRICsの一角に異変

私は、HSBCのブラジルオープンを累投で投資をしています。この投信が不調で、一時期、基準価格が15,000円を上回る水準で推移していたものが、その後、5,000円まで下落しました。最近では再び上昇し、12,000円程度にまで持ち直したのですが、期近では8,000円台前半まで下落しています。これは、言うまでもなく、ブラジルレアルの下落と、ブラジルの代表的な株価指数であるボベスパ指数の不調のダブルパンチをくらったからです。
2012年6月27日付日本経済新聞夕刊にブラジル経済の近況に関する記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『ブラジル株、国内景気急減速で低迷』です。ボベスパ指数は、欧州問題を背景に低迷しており、昨年末の終値を5%を下回り、年初来の上昇を保っている米ダウ工業株30種平均などとは対照的な動きを示しています。以下記事引用。

『(株式)相場低迷の主因は国内景気の急減速だ。2012年1〜3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比で0.8%増に低迷した。異常気象で大幅に落ち込んだ農業の影響が大きいが、製造業も2.6%減と苦戦。12年通年のGDPの伸びは3%弱と、4%程度とされる潜在成長率を下回るとの見方が多い。
保護主義色を帯びつつある経済運営も(株式)相場の重荷になっている。同国は5月末に輸入品の二輪車や電子レンジなどに工業品税(IPI)を上乗せすると発表した。国内産業の保護をテコに景気を刺激する狙いだが、複雑な税制や硬直した人件費などの「ブラジル・コスト」は手つかずのまま。中長期的な潜在成長率の低下を招くとして市場では懸念が強い』

 私は、リオのオリンピック開催直前まで、累投を続けるつもりです。それまで基準価額のことは気にせず、ほっておくつもりでいましたが、下げ幅がやや厳しいのでデータをチェックしてみました。右図は2007年からのブラジルオープンの基準価額を示したものです。2010年から2011年半ばまで12,000円前後で安定していましたので安心していました。しかし、ブラジルの実質経済成長率を示した上図をみてもブラジル経済の失速は明らかであり、非居住者をターゲットとした金融取引税の導入や、上記引用記事にある「ブラジル・コスト」の存在など投資対象としてはやや不安を感じさせる国であるという印象を受けました。
 そして、もう一つの雄であるインドの経済成長率も低下しています。インドはブラジルほどの成長率の低下はないのですが、構造的に経常収支が赤字となっており、これが成長の制約となっているようです。インド経済の近況を説明している記事が『週刊ダイヤモンド』2012年6月30日号に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『資金流出・通貨安で内需失速、苦境に打つ手なしのインド経済』です。記事の冒頭には、インドの2012年1〜3月期の経済成長率が前年同期比で5.3%まで低下、7年ぶりの低水準になったとの記述があります。以下記事引用。
 『外部の環境変化に強い内需主導の経済を強みとしてきたインドだが、その内需が失速している。 第1の要因は、欧州危機に伴う資金流出だ。原油を輸入に依存するインドは、恒常的な貿易赤字を抱える経常赤字国だ。それ故、国内の資金不足を補うために、海外から資金調達しなければならないのだが、それが難しくなっている。「金が回らず、企業の設備投資が落ち込んでいる。外資系企業に投資を手控える動きがあるのも懸念される」(西濱徹・第一生命経済研究所主任エコノミスト)。 第2が、インフレ率の高止まりである。5月の卸売物価指数(WPI)は対前年上昇率が7.6%と、4月の7.2%からさらに加速。高インフレで個人消費は低迷し、インフレ抑制のための金融引き締めで企業活動も停滞、内需失速を招いている
 ブラジル、インドともに雲行きが怪しくなっているのが実情でしょう。気になるのは、ブラジル経済では成長率の低下で、インド経済は、成長率が鈍化しているにも拘らず経常収支の赤字幅が拡大していることです。中国も欧州債務危機を受けて、輸出を中心とした経済成長に陰りがみえてきており、BRICsが総じて元気がなくなっています。米国、欧州、日本など先進諸国には成長余力はありません。そこで期待されるBRICsだったのですが、先進諸国の経済成長率が低迷する中では、これら諸国にも成長にも限界があります。世界全体がおかしくなっている現実がみえてきます。 

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