2012年7月27日金曜日

キャノンのミラーレス発売、懸念される低価格化

一眼レフのデジタルカメラというば、日本メーカーが世界市場を席巻しているというイメージがあります。ドイツにも有名メーカーがあるものの、そのロットは少なく、9割以上のシェアを維持しており、コンシューマーサイド、つまり川下に位置する産業でも、わが国のメーカーが競争力を確保している数少なくなっている製品の一つです。
 かつては、レンズ交換式デジタルカメラといえば、この一眼レフのデジタルカメラを一般には指し、有力なメーカーというばキャノン、ニコンでした。しかし、2008年にパナソニックによりミラーレスという新たなカテゴリーのレンズ交換式のデジタルカメラが発売され、一眼レフの市場を奪っています。既に、レンズ交換式デジタルカメラの国内市場でも4割をミラーレスが抑えており、これを危機感を抱いたのか、キャノンがついにミラーレスのデジタルカメラの参入を発表しました。
 2012年7月24日付日本経済新聞にキャノンのミラーレスの発売についての記事が掲載されていましたので紹介します。因に、私は、デジイチ(一眼レフのデジタルカメラ)はニコンのD300、コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)はキャノンのPowershotG10で、以前はデジイチばかりだったのですが、遠方への旅行には手軽さからコンデジを持っていくケースが多くなってきています。今、ニコンに続く、キャノンの市場参入でミラーレスの購入を検討しているところです。記事の題目は『キャノンもミラーレス、年内にシェア1割、最後発、新規顧客を開拓』です。以下引用文。
『キャノンは23日、「ミラーレス」と呼ばれるレンズ交換式デジタルカメラ事業に参入すると発表した。ミラーレスはデジタル一眼レフよりも小型軽量な点が受けて、女性や若者の人気が拡大。レンズ交換式では国内市場の4割を占める主戦場となっている。デジカメ世界最大手のキャノンは国内最後発となるが、デジカメのブランド力や豊富なレンズなどの経営資源を生かし、今年下期(7〜12月期)に11%のシェア獲得を目指す』
消費者の立場から考えれば、選択肢が増えるという意味で、キャノンのミラーレスへの参入はプラスです。しかし、日本の産業や企業サイドの立場から考えた場合、競争の激化からカメラの低価格を生じさせ、市場から脱落するメーカーが出るという懸念があります。特に、韓国のサムスン電子がミラーレスのデジタルカメラのラインアップを拡充しており、また、日本企業の敗退するのではないかと思い、気がきではないというのが本音です。上図は、カメラ映像機器工業会公表のデータから作成した、レンズ交換式デジタル(スチル)カメラの出荷台数の推移を示しています。図からはフィルムカメラよりもランニングコストが低く、手軽さから急速に市場が拡大していることを読み取ることが出来ます。しかし、1台当たりの価格は急速に低下、今後、メーカーの収益を圧迫する可能性も出てきています。
また、地域別出荷台数では、アジア地域が急速に伸びているものの、2011年時点では僅差で欧州のシェアがトップとなっています。ユーロ安などに伴い、キャノンの株価が大きく下落しているのは、この点などが要因となっていることが考えられます。ところで、金額ベースでは所得水準が高く、出荷台数の多い欧州が圧倒するのではないかと思っていました。しかし、実際に調べてみると、金額ベースのシェアではアジアが欧州を上回っており、単価ベースではアジアの方が欧州よりも高いことが判明しました。つまり、アジアなどでレンズ交換式のデジタルカメラを購入できるのは富裕層であり、近年の経済成長に伴い、富裕層の絶対数がアジア地域で多くなっていることが背景にあります。
 日本メーカーは、ミラーレスのデジタルカメラという新たなカテゴリーをつくり出した点で非常に評価できます。しかし、結果、サムスン電子などの市場参入を許し、この分野での競争力を失うという最悪の事態は是が非でも避けたいところです。ミラーレスのカメラはアダプタを使えば、既存のレンズを装着できるというのが一般的です。キャノンには、過去のレンズ資産にとらわれず、速やか、かつダイナミックな事業展開が期待されるところです。

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