そこで、ダウ平均の構成要素を調べてみることにしました。右表は、同平均株価の業種別のウェイト、変化幅、変化率を示したものです。金融株のウエイトは10%にとどまっていることから、直接的な影響よりも心理的な影響の方が大きいともとらえることができす。因に、右表の金融部門に含まれる企業は、アメックス、トラベラーズ、JPモルガンチェース、バンク・オブ・アメリカの4社です。特に、JPモルガン・チェースの下落幅は前日比9.28%の大幅の下落になっており、心理的影響だけでなく、JPモルガン・チェース自身の株価下落が直接的な要因となりもNYダウが下落したことは否定できないでしょう。
JPモルガンチェースの損失に関連して、2012年5月12日付日本経済新聞朝刊に『JPモルガン、1600億円損失、リスク管理巧者、意外なつまずき』という題目の記事が掲載されていました。以下記事引用。
『【ニューヨーク=藤田和明】巧みなリスク管理で知られているJPモルガン・チェースが、デリバティブ(金融派生商品)で20億ドル(約1600億円)の評価損が生じたと発表した。金融危機でも目立った損失がなかったJPモルガンに何が起こったのか。市場では米金融機関が抱える潜在的リスクが意識され、先行きへの不透明感が漂っている。(中略)この記事によると、金融機関による自己勘定を原則禁止とする規制、いわゆるボルカー・ルールなどによる規制強化に弾みがつくと示唆しており、そして、上記損失が個別取引によるものなのか、米銀が抱える潜在的リスクの一部の顕在化なのかを見極める必要があるとしています。欧州債務危機が深刻化した場合、米銀の自己資本は一挙に毀損することとなります。この記事は、2008年9月に端を発したリーマンショックの影響から、まだ抜け切れていない米経済の足腰の弱さが露呈した内容ともいえるでしょう。
1〜3月期の決算発表から、わずか1ヵ月間で唐突に発表されたデリバティブ損失。「要塞のバランスシート」ともいわれるJPモルガンの想定外の損失に市場には驚きが走り、JPモルガン株は急落した』
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