2012年5月25日金曜日

設備投資を引っ張るスマートフォン

私の生活は、パソコン中心の生活からスマートフォン(スマホ)へと移りつつあります。特に、簡単な調べごとをする際は、以前はパソコンを起動させ、Webで用語を検索していました。今では、常に電源が入っているスマホでの検索へと完全に移行しています。少し前までは、アップルのiPhoneがアドビのフラッシュに対応していないことから、参照することができなかったホームページも数多くありましたが、今はHTML5で書かれているケースが多くなったせいか、スマホに表示が最適化されたホームページが多くなり、スマホで読めないとことは少なくなりました。これに加えて、証券投資、クレジットカードの引き落とし、金貯蓄、飛行機の予約、宿・ホテルの予約など、様々なサービスをスマホ一台で受けることがことができるようになり、生活の中心にスマホがあるといえます。スマホの技術開発は、まだこれからです。30年以上も前に登場したパソコンとは違います。個人情報の流出など危険な面も否定はできませんが、一層の技術革新が期待される分野であるといえます。
そして、スマホに関連して、このほどシャープは、世界最大のEMS企業の鴻海グループの社長個人から1,300億円の資金調達を受けることが報道されました。この背景には、鴻海グループとシャープの両社の思惑が一致したことがあります。鴻海グループは、今年10月に発表されるであろうiPhone5の液晶パネルの受注をアップルから取り付けたいことを意図しています。一方、シャープは液晶ラインの増強に投じた転換社債の償還が、2013年9月に迫っており、やむを得ない状況から応じたと考えています。従って、状況的には鴻海グループ側有利に事は進んだことが予想されます。ここへきて、iPhone5には、タッチ機能をパネルに内蔵されるイン・セル型の液晶の搭載が見込まれており、シャープからの安定供給を目的としたものでしょう。アップルはサムスン電子と激しい競争を行っており、一連のサムスン外しの流れの中で、アップルの要求に鴻海グループが応えたのではないかと思われます。因に、イン・セル型の液晶は、従来のものより30〜50%も薄くできるそうです。
 2012年5月20日付日本経済新聞朝刊にスマホ関連の記事が2つ掲載されていましたので引用します。一つ目は『ファナック3割増産』という記事です。以下引用文。
 『ファナックは工作機械の動きをつかさどるコンピューター数値制御(NC)装置の生産能力を2012年中に3割増やす。山梨県の工場に生産設備を導入し、自動車やスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けに供給を増やしている国内外の工作機械メーカーに納入する。中核部品の能力増強で競争力の維持拡大を目指す』
スマホ需要の拡大を目論み、ファナックは、設備投資を行い競争力維持を図るようです。シャープの亀山第1工場(三重県亀山市)、多気工場(三重県多気郡)がiPhone用のパネルを供給するとともに、亀山第2工場もiPad用にパネルを供給しています。スマホなくして、電機メーカー、機械製造メーカーの成長はないのです。因に、iPhone4Sを、分割ではなく、一括で購入した場合、auでは7万円超にもなるそうです。パソコンの価格が下落する一方で、ブランド力のあるスマホは価格は高いという事実があります。もう一つの記事は、『パナソニック、中台大手に技術供与、スマホ用基板増産』です。以下引用文。
 『パナソニックはスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けに独自開発した多層基板の供給力を引き上げる。年内に自社の生産能力を2010年末に比べ1.8倍に増やすのに加え、基板の設計・生産技術を中国や台湾など複数の大手基板メーカーに供与する。独自開発した基板の世界シェアを2割から、15年には5割に引き上げ業界標準を握る考えだ。
 独自開発した多層基板「ALIVH」は、他社の多層基板より25%ほど面積が小さいのが特徴だ。スマホは限られたスペースの中で、大きい電池などを搭載する設計ニーズが強いため、基板の大きさを抑えるのが課題だった』
パナソニックも幅の広い事業分野を手掛けていることがよく分かる記事です。テレビ事業をソニーと共同で行うことで、両社の協力体制が確立できれば、日本の電機メーカーの復活の可能性があるでしょう。

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