そのオランダの信念が本当だったことが、今回は債務危機の局面ははっきりしました。財政赤字をEU各国が決めた国内総生産比率で3%以内にするため、内閣総辞職、政局がしばらくの間、不安定化する可能性も否定できませんが、国民の危機意識を反映したものと、私は勝手ながら判断しています。今日の引用は、2012年4月28日付朝日新聞朝刊からです。記事の題目は『「優等生」オランダ、欧州危機の波、総辞職条件に緊縮策。世論も真っ二つ』です。以下記事引用。
『財政赤字の削減策を巡り内閣が総辞職に追い込まれたオランダで4月26日、与党と一部野党が財政緊縮策で合意した。27日には9月上旬の総選挙日程も決める。欧州経済の「優等生」のオランダにまで混乱が広がった背景に、財政規律は守りたい一方、歳出削減を急いで景気を悪くしたくないという欧州共通の悩みがある。(中略)こうした危機意識がないのが日本です。消費税率の引き上げだけで何年も時間を浪費しているのが、わが国政治の実情です。わが国を含め、主要国で財政秩序の回復が維持できない中、オランダの選択は無駄にはならないと思います。ここで、ユーロ統計局発表のオランダのGDPと財政の状況を紹介します。上表は、2008〜2011年の同国のGDPや政府の歳出入を示しています。GDPが着実に増加するものの、2009年から入ってからの歳出の増加が財政赤字拡大の原因となっています。しかし、財政赤字のGDP比率が2011年ベースで4.7%にとどまっていること、緊縮策が選ばれたことなどから、格下げとなったフランス国債とは事情は異なるようです。因に、フランスの財政赤字のGDP比率は5.2%であること、債務残高のGDP比率も85.8%(オランダは65.2%)にも達することから、オランダのAAAとフランスのAAは納得がいくところです。市場では、次はスペインだという指摘がされていますが、やはり本命はフランスです。同国の財政運営次第では、ユーロ圏の財政規律が崩壊、ユーロの暴落が懸念されています。
オランダ国債の格付けは最上位の「AAA」(トリプルエー)という欧州経済の「優等生」。格付け大手3社から最上位を得ているのは、ユーロ圏ではほかにドイツ、フィンランド、ルクセンブルクだけだ。政局の混乱が続けば、国債が格下げされかねない。最終的に緊縮策で合意できたのは、賛成した各党にこうした危機感が募ったからだ。
ただ、最近の世論調査では、緊縮策に反対してきた左翼・社会党が大きく支持を伸ばす一方、ルッテ氏(暫定首相)の自由民主党も支持が高く、世論は左右に分裂。「総選挙後の連立の組み合わせはかなり難しい。組閣は来年初めまでかかるかもしれない」(地元記者)との見方があり、政局の不安定さは続きそうだ』
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