『週刊東洋経済』2012年5月12日号に『世界1億台の争奪戦、日本車大反抗』の題目の記事に、独VWの躍進の秘密が記述されていましたので紹介します。
『18年までに年1000万台を売り、世界ナンバー1を目指すVWは、"車のモジュール化"で壮大な実験に着手している。自動車各社では目下、コスト削減のために部品の共通化を進めているが、共通化だけではすべての車が同じになってしまう。VWの場合、車をモジュール(複合部品)にして自由に組み合わせることで、「共通化」と「多様化」を両立させようという試みだ。日本の自動車メーカーが元気の良かった時代は、日本メーカーの技術や製造技術が世界的にも注目されました。しかし、今は、VWが世界の自動車に関する技術力アップに貢献している気がします。独車の燃費を劇的に向上させたTSI(Turbocharged Stratified Injection)も、VWが開発した技術で、ガソリン直噴(FSI)エンジンにツインチャージャーやターボチャージャーを組み合わせたものだそうです。また、販売台数が劇的に伸びている背景には、中国での販売台数が大きいことが寄与しています。VWの地域別販売台数のシェアでは、ドイツ本国が14%にとどまっているのに対して、中国が28%にも達しています。世界で新車が最も売れるのが、今の中国です。中国市場での躍進こそが同社の勢いであるともいえます。
これに対し日本勢も同じような試みを始めたが、どれだけ根本から車造りを見直そうとしているのか、まだ見えない。トヨタもホンダも、12年の世界販売は過去最高水準になりそうだが、かつてのような存在感はない。一時の追い風に惑わされず、1億台時代に勝ち残る覚悟はできているか。日本の自動車メーカーにとって後に引けない闘いが始まった』
そして、2011年で8,000万台弱であった新車販売台数が2017年にも1億台を突破するのではないかという予想が出ています。日本が490万台から450万台へと減少する一方で、中国は1,900万台から2,800万台へ、米国は1,400万台から1,700万台へそれぞれと増加する予想が出ています。この流れの中で、電気自動車の充電方式において、日米欧で主導権争いが生じているようです。日本は、この分野では先行しており、国内を中心には既に1,400ヵ所の充電機が設置するも、米欧の巻き返しが激しく、日本の規格が世界標準とはならないという最悪の事態が生じるかもしれません。これに関して、2012年5月20日日本経済新聞朝刊に『EV後発連合、日本包囲網、米独8社、充電で独自規格』の題目の記事が掲載されていました。以下記事引用。
『【ニューヨーク=杉本貴司】電気自動車(EV)の充電方式を巡って、米ゼルラル・モーターズ(GM)や独フォルクス・ワーゲン(VW)など米独8社が、独自規格の採用を推進する方針を決めた。すでに日産自動車などがEVの販売を始めている日本勢は、充電方式で先行し、国内外での普及を目指している。エコカー分野の国際標準を握って世界をリードしたい日本勢にとって、思わぬ包囲網が形成された格好だ』日本企業の潜在力は、やっぱり凄いのかもしれません。米欧の企業が既に警戒しているのです。2011年は、トヨタ自動車は、世界販売で3位にまで転落しているものの、技術力は、他の国々の自動車メーカーを凌駕している可能性は高いです。ハイブリッド車はややガラパゴス的な存在なのかもしれませんが、本命である電気自動車では、世界をリードするようになればと思っています。そして、米欧のメーカーの嫌がらせに屈せず、継続的な技術開発を期待したいところです。幸い、日産が仏ルノーの子会社であることから、政治的にもドイツを屈服させる可能性も否定できません。ここが正念場です。
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