右図は、ドイツ連邦統計局発表の鉱工業生産指数、小売売上額指数、消費者物価指数、ifo景況感指数を示したものです。2005年を100とした指数で、小売売上額指数以外はリーマン・ショック以前の水準にまで回復しています。このうち、消費者物価指数は、経済にとって悪影響をもたらす要因であり、かつてハイパーインフレーションで苦しめられたドイツにとって最も懸念する材料といえるでしょう。しかし、EU圏内の成長率はゼロであり、債務危機が深刻化している中での政策金利の利上げはほぼ不可能なことです。幸い、ここのとろこ原油価格は下落、トウモロコシなど穀物相場も軟調化しており、ドイツ経済にとってプラスとなる要因となっています。
こうした中で、ドイツ企業に関する面白い記事が『週刊エコノミスト』2012年5月29日号に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『ドイツ、全企業の99%占める中小企業の競争力』です。以下引用文。
『ドイツでは全企業のうち約99%を中小企業が占め、ニッチな分野で高いシェアを持つ企業は「隠れたチャンピオン」と呼ばれる。株式公開せずに中長期的な成長を重視しながら、輸出企業として成功を収める企業が多いことが特徴だ。これら中小企業の貢献もあり、国内総生産の約5割を占める輸出は11年、過去最高を記録した。技術と経験の長い蓄積は、ドイツ経済の足元を簡単に揺るがせそうにない』日本の中小企業も、円高という悪夢がなければ、世界に通ずるものもありますが、競争に巻き込まれない、ニッチ市場の開拓は、企業の成長に不可欠な要素です。通貨安といえども、この中小企業の姿は、ドイツ経済の躍進へとつながっています。もっとも、これがドイツ経済の生産性と他のユーロ諸国との生産性格差を生んでいることも否めません。ドイツ企業が絶好調さを持続すれば、逆にドイツがユーロから離脱しない限りは、ユーロ債務危機の問題は解決できないかもしれません。
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